入れば、さっと傘をたたむのを手伝ってくれる、
かわいい花番さんに通されて…

雨に濡れ、手が悴み、そういえばとても寒い 。
すぐにお願いした、熱燗一合。




品書きを見るが、まだどこかぼおっとしてて、
あまり頭に入ってこなく…



添えてお願いしたのは、「山葵茎の醤油漬け」



「菊正宗」熱燗は、ほっと寛ぐ柔らかさ。
しゃきしゃきっと瑞々しく、かえしに浸かった山葵茎の、
ほんのりツンっとくる辛さが、熱燗に実に良き充て 。

しばし、たっぷりと、
思い返し、思い返し、余韻にふけり…
はぁ～・・・

いつの間にか、お酒の瓶も空になり、
ほっと落ち着いたら、お昼も食べてなくてお腹ぺこぺこ。
お蕎麦を食べよう　。

季節の品の中から気になったのは…



初めて見る、ちょっと想像のつかない、「かしわわさびそば」。
かしわ、というのだから、鶏肉で、
で、わさび？、ん？胡麻？？

どんなのだろう…と、興味シンシン。



気になるものは、頼んでみなくちゃ 。



ほおっ、成程っ、こう来たかっ　。



蕎麦の上にこんもりたっぷりと盛られているのは、
胡麻だれで和えられた、ほぐした鶏もも肉。



まずは蕎麦を手繰り口にすれば、
繊細な細身の蕎麦は、心地のいい程良い腰に、
ほろりっと解け、ふわっと喉に落ちる爽やかさ。

微かに透ける、甘皮の切れ端からは穀物感が感じられ、
うんっ、今日の蕎麦、美味しいっ 。

何度か手繰り、蕎麦をしっかりと味わって…



ざっくりと崩し、鶏肉を絡め、
蕎麦汁にそっと浸し口にしたら…

これ旨っ 。

胡麻ダレ、ではないのに、まろやかな胡麻がしっかり。
「胡麻だれ」に浸すよりも、すっきりとして、
しかも、鶏肉の旨みも重なりこれはいいっ 。



海苔も絡め、そっと山葵を乗せ口にすれば、

まず感じる胡麻だれに、鶏の上品な旨み、
その後に海苔の磯の香ばしさが広がり、
最後に、山葵が清々しくツーンっ。

口の中で順々に旨みが広がり、最後に重なるハーモニー 。



最後は、もり汁をちょろりと垂らし、
ざくざくっと混ぜ、ぶっかけにすれば、
これはも～う、旨み満点、ずずずっと一気 。



残った鶏肉を猪口に移し、
熱々蕎麦湯を注ぎ、胡麻風味の蕎麦湯をたっぷりと頂いて…



ご馳走様でした～

幾重もの味の重なり合いも楽しく、
幾重もの食べ方もあり楽しく…
いいなあ、蕎麦って、本当に無限だなあ 。

にこやかな花番さんに見送られ、
余韻にたっぷり浸らせて頂いて、
はぁ…、映画の後も、やっぱり蕎麦がいいなあ　。

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