西八王子「いっこう」さんで静岡在来種を頂いた、丁度すぐ後、
静岡藤枝の「ながいけ」さんからメールが届き、
静岡在来種の試食会を行ったそうで、
その蕎麦について書かれた、ご主人の熱い文字をを目にしたら…
何としても、「ながいけ」さんの打った静岡在来種を食べてみたい 。
と、ずっとずっと思い募っていた、今日。
ようやくようやく念願かない、お友達と一緒に伺う事に
折しも、この日の為に開通してくれたかのような「新東名高速道路」。
広々としてカーブの少ない、まるでサーキットの道路を、
気持ちよく、晴れ渡った天気の中走り抜け…
ニュースでも散々話題になっていたSA(サービスエリア)。
「駿河湾沼津NEOPASA」で、ちょっと休憩~。
地元産直野菜が山程売られ、お土産やさんがずら~り。
裏には広々としたパークもあり、ドックカフェまである、楽しいSA。
気になった、静岡産のフルーツトマト「アメーラ」のデザート
「トマトロール」に、「トマトベリーケーキ」を味見して…
さあ、また一走り、お店にも便利な「藤枝岡部IC」に程なく到着~。
国道一号線「東海道」沿いの、川を渡った橋のたもとに、
木々に覆われた、紺色壁のモダンな、どこか南欧風のお店が佇んでいる。
思えば、早3年ぶり、ひらりと靡く麻の暖簾を眺め、
懐かしさに、今から頂く蕎麦にわくわくしながら、扉を開き店内へ…
静岡県藤枝市 「手打そば ながいけ」
入ればすぐ、待っていてくれたかのように迎えて下さる白作務衣のご主人。
「お待ちしておりました、ようこそ、ようこそ」
とその穏やかで暖かな笑顔に、もうそれだけで胸いっぱい。
「丁度、お客さんが帰られたところなので、お好きな所にどうぞ」
と薦められ、真ん中に置かれたゆったりとしたテーブルに腰を下ろす。
お茶を出して下さりながらもすぐ、静岡在来種の蕎麦についての話が始まり、
穏やかな口調で語りながらも、ご主人のこの蕎麦に対する、
深くて強い愛情がひしひしと感じられ…、
まずは、久しぶりの訪れたお店、蕎麦前を頂いて、
ゆっくりとお話しをお聞きしよう…。
と、頂いた、藤枝の地酒「志太泉」吟醸酒。
すっきりとして清らか、美味しいお酒を口にして、
お料理の品書きを眺めていると…、
出して下さった、掬い豆腐のように盛られた「蕎麦豆腐」。
豆乳に蕎麦粉を混ぜ、にがりで固めたという豆腐は、
これまで食べてきた、葛で固めた「蕎麦豆腐」とは、全く別物 。
豆腐独特の食感はそのままでありながら、
豆乳のクリーミーさと、蕎麦の香ばしさに甘みが混ざり込められ、
こっ、これは美味し~いっ 。
と、「蕎麦豆腐」にうっとりしていると、続いて出して下さったのは、
コース料理の中の一品、蓋付き碗に盛られた「蕎麦の実とろろ」。
そっと蓋を開けてみると、これは美しい…。
ふっくらとした蕎麦の実に、鮮やかな青海苔のコントラスト。
早速スプーンでざっくりと混ぜ頂けば、
ぷちぷちした蕎麦の実に、とろ~っとエア感たっぷりのとろろが絡まり、
蕎麦の香ばしさに、青海苔の磯の香ばしさが混ざり合い、
こっ、これも又美味し~いっ 。
この二つ、毎日でも食べたい…と、お酒と共に味わっていると、
さらに私を喜ばせる、地物の「山菜三品盛り合わせ」。
酒の充てにはたまらない、酢味噌のかかった「のびるの塩茹で」に、
これが嬉し~い 、柔らかで筍の風味が新鮮な、
柚子味噌のかかった、静岡産の茹で筍。
ほんのりとした粘りが独特の「ぜんまいのお浸し」。
…と、これらにお酒もお替り、これも藤枝の地酒「喜久酔」も頂いて…
「そろそろ、そばがきを作りましょう」
と出して下さった、柚子味噌とつゆが添えらて出された、
湯が張られた中に、ほかほか湯気を立てた、ぽっこり盛られた蕎麦がきは…
思わず目が見開いてしまう、「超!!・粗挽き」 。
静岡在来種の蕎麦を、コーヒーミルで挽き作られたそうで、
置かれた瞬間に、湯気と共にもわ~と豊に香り立つ、
ふっくらとした穀物のもつ、香ばしい香り。
箸を入れば、とろりと柔らかく、
中にぶつぶつざくざく埋まった蕎麦の実の粗い粒がびっしり、
これはすごいっ、思わずしげしげと見つめた後で…。
口に含めば、ぷつぷつぷりぷり蕎麦の実が口中を駆け巡る、
この感触が何ともいえず、ぞくぞくする程…、カ・イ・カ~ン
その間にじわ~っと、爽やかで香ばしくふっくらとした穀物の味が広がり、
飲み込んだ後に、途端にくぅっと込み上げてくる、濃厚な味わい。
まるで、おはぎ、いや蕎麦粥のお饅頭のようなこの蕎麦がき、
これは、もう、又とない蕎麦がきだ…。
と、そのままで、置かれていた「もんごる塩」をつけて、
さらに、添えられた「柚子味噌」をつけ食べれば、
ほんのり甘めの味噌に絡んだ、蕎麦の香ばしさがたまらな~い 。
と蕎麦がきにすっかりクラクラ、
蕎麦への期待がますます高まり…
「今日は4種類打っているんですよ」とのお言葉に歓喜し、
粗挽き三兄弟改め、四兄弟をいよいよお願いする事に 。
まず出されたのは、玄ごと挽いた「粗挽き蕎麦」。
丸岡在来種で打たれた、十割の粗挽き。
笊に盛られた蕎麦は、角がキリっ、ほのかに透ける透明感があり、
様々な色形のホシが散りばむ、神秘的な美しさ。
手繰り上げ、透け見える蕎麦の欠片に見とれ、
口にすれば、すぐに感じる欠片が掠める、ほのかなざらつき。
噛みしめれば、香ばしさの後に、甘味が追いかけ、
ふっと消えるように、軽やかに落ちるのど越し爽やか。
ああ、美味しいなあ… 。
まろやかでしっかりとした味わいある汁を添えれば、さらに甘味が増し、
するすると、いくらでも入っていってしまいそう。
さらに、前回食べてはまってしまった「桜海老のつけ汁」も添えて頂き、
これに浸してみれば、桜海老の旨みが沁みた、暖かな汁はやはり絶品~。
サクサクとした桜海老が、次第にしっとりと汁に染み、
蕎麦と絡めれば、これが又たまらなく…、二人で手繰れば、あっという間。
タイミングもよく、二枚目は、「手挽きせいろ」。
常陸秋そばと丸岡のブレンド、手挽し打たれた二八の蕎麦。
ああ、これは又なんて可憐で清楚な美… 。
丸抜きの透明な蕎麦粒が、折り重なり埋め込まれ、
顔を寄せれば、ふっくらとしたまろやかな香りがふわりと広がる。
手繰り口にすれば、しっとりと歯を包み込むような歯ごたえに、
ほのかに感じるぬめりの、何とも言えない優しい心地。
ふっくらとして穏やかな香ばしさがあり、
手挽きならではのぬくもりが、ふっと心に広がるよう。
先の粗挽きとは全く違う、ああ、これも美味しい…。
3枚目は、待っていましたっ
お目当ての、静岡在来種で打たれた「粗挽き十割」。
静岡在来種、その丸抜きの蕎麦粒がびっしり埋まる陰影に見とれ、
顔を寄せれば途端に広がる、草いきれを思い出す、新鮮な青々しさ。
口に含めば、もっちりとした粘りのある、心地のいい腰があり、
噛みしめた途端に、くわ~っと広がる、
えぐみに似た鮮烈な清々しさに、ふっくらとした香ばしさに甘味。
呑み込めば、そのすぐ後からのど元から戻ってくる、
類い稀なき濃厚な青みある蕎麦の味わいに、思わず、うわっと声が漏れる。
こっ、これは美味しい…
初々しくも艶めかしい、麗しき美少年を思わせる蕎麦の味わい…!
静岡在来種、その活き活きとした鮮烈な風味に、
改めてこの蕎麦の持つ旨さを感じてしまう。
そして…、出された最後の一枚、
常陸秋そばと丸岡のブレンド、粗挽き十割。
これが又、楚々とした粗挽きの素晴らしい景観。
ぷつぷつと蕎麦の粒がびっしりと埋め込まれ、
手繰りあげれば、ふっくらとした落ち着いた蕎麦の香ばしい香り。
もっちりとしてしっとり、心地のいい腰をかみしめれば、
馥郁とした豊穣な蕎麦の味わいに満たされる。
静岡在来種とはまた違う、奥行き深い香ばしさ。
ああ、4枚すべてが素晴らしく美味しい…。
以前頂いた蕎麦の、シャープな印象だった蕎麦に、
落ち着いた豊かな表情が、それぞれの蕎麦に加わっている…。
と、呆然としている所に出された蕎麦湯は、白濁としてクリーミィー。
それぞれの蕎麦の余韻に、ほお…と浸りつつ、
ご主人と改めて蕎麦の話しを、ゆっくりとさせて頂いて…
最後にこれも楽しみな甘味、「蕎麦シフォン」。
これが、また信じられない程、ふっわふわ。
優しい甘味に、蕎麦の風味がほわんと残り、これも美味し~い 。
来てよかった、本当に来てよかった。
焦がれていた「ながいけ」さんの静岡在来種は、思った以上の素晴らしさ。
ご主人とかわす蕎麦談義が、またかけがいなく楽しくて…
去りがたい気持ちの中、お店を後に。
ごちそう様でした~
思い出せばすぐ恋し、あの蕎麦を手繰りたい。
静岡がもっと近ければいいのに、と切に思いつつ…
又!、行きますっ!、静岡…。
U様、本当に、ありがとうございました~
「手打そば ながいけ」
静岡県藤枝市志太5-9-2
054-644-8518
11:30~14:30 夜は予約のみ
月曜、火曜定休(祝日営業)
禁煙
Pあり
お店のHP
2009年 9月25日 「粗挽き三兄弟」
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ぜひ、行かれてみて下さい♪。
桜の時期も、又よさそうでしたよ。
窓から桜がいっぱいに見渡せます(^^)
まだまだ未熟な私です。
これからも、ご指導願います…。
(私もやりたいけど、うちには一つしかないし…)。
見る(ミル)と、すごいでしょう、この蕎麦牡蠣作る前の、蕎麦粉!
ほとんど、欠片…
少々、水に浸しておいて、それから練り上げるんだそうです。(その位粗い)。
そのうち、この静岡在来種のように、千葉在来種などというのも発見されたら面白いなあ。
よしのさんのところの品種はなんなんですか?
お陰さまで、又あの蕎麦に会えた…。
そうなんです、この蕎麦もずっと心に残ってる。思い出すと、きゅ~んと胸に蘇ってくるんです(u_u*)~
お蕎麦は、曜日変わりだったりするので、ぜひ、HPで確認して、目的のお蕎麦の時に、ドライブがてら~行ってみて下さい(^^)。
なるほど。
当家にはミルが2つあり、一つはお休みしております。
んで、こんだ沢山(って、比較の問題ですけど;;)収穫があった折り
には、
試みたい!と思いました。
(殆どザックリとミルを通しただけっ、て見える(ミルんだよ!)のですね;
実験は色々としたいのですが、これまで収穫がままならず、5年掛けて
漸く少しずつ作付け面積を増やしてきました。
収穫「量」は、どうしても一定面積の畑を前提しなくては確保出来ません。
もう少し作付け面積を増やせるべく、頑張ります!(結構時間が掛かる
忘れられないお蕎麦でした。
記憶に残って焦がれる味ってこういう感覚なんですね?
久々にぶっとびました。
私も遠征したい(笑)
珈琲風味の蕎麦になっちゃいますもの、ね(^^)。
あちゃっっ、、
…でも、ということは、たかみのみかたさんも、一緒…(^^;
Yukaさん、「カ、イ、カーン」フレーズで年齢が・・・。
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