昼ちょっと過ぎの店内は、何人かが寛ぐ心地のいい空気の流れ。
今日は妙に、昼下がりの蕎麦前を楽しんでいる人が多く、うれしいな…



と、ふと壁を見ると…、
「天然山菜入荷シマシタ」の貼り紙はまだないようだけど、
よかった～っ、お目当ての「ふきのとうの掻き揚げ」はもう出ている 。



途端にうれしくなり、空いているテーブルに腰を下ろし、
お勧めの品書きを見れば、牡蠣の季節は過ぎ、春の到来を感じるが…、



「山菜そば」はまだお休み中。
みわさんの「山菜そば」は天然物、これも是非食べてみたいな…



と、眺めた後で、早速「ふきのとうの掻き揚げ」に、「鷹勇」熱燗を添えて注文。
裸木の優しい色あいの壁に囲まれ、白木のテーブルは肌に優しく、
ここに座っているだけで、ほおっと安らぎを感じていると…



軽やかな揚げ音が止み、目の前に出された「ふきのとうの掻き揚げ」。
独特のまん丸く形作られた、ふきのとうを寄せ揚げは、
箸を入れた途端に、さくさくと崩れる程、とても軽やか。



口にすれば、ぱっと広がる、ふきのとう独特の春の味わい。
さくっとしてほろり、ほのかに広がるほろ苦さが、熱燗にたまらない 。
しばし、ゆっくりと楽しませて頂いて…

今日は、久しぶりに「みわ」さんの「かけ」が食べたいな、



とお願いした、限定「手挽き」の「かけそば」。



味わい深い陶器に張られたこの汁は、なんて清らかで美しい…。
ほとんど透明に近い、澄みきった琥珀の汁を、口にすれば、
ああ…と思わず声が洩れそうになる、旨さ。

優しく上品な鰹出汁が染み、柔らかく深く、優しく奏でる美しい味わい。
飲んだ後の体に、すぅ～と染み入る美味しさに、うっとりと悦に入り…



中の蕎麦を手繰り上げれば、やや太めに断たれた蕎麦の中には、
ぷつぷつと埋め込まれた蕎麦の粒。
暖かい汁に浸った蕎麦は、もちもち感がすごい。
噛みしめれば、香ばしく甘い蕎麦の味わいが、ほわ～と口一杯満たしていく。
ん～っ、これは美味しい…



と、しばしこの極上かけそばを楽しんで…
ちょっとだけ残していた、掻き揚げをこれに浸し、



蕎麦と一緒に口にすれば、ふきのとうの風味に蕎麦が絡まり、
香ばしさに苦み、やさしいかけ汁の三重奏、これはたまら～ん 。

と、最後には丼傾け口にして、汁一滴残せず頂き、大満足。
「天然山菜入荷シマシタ」の頃に、又来なければ、としかと思い…

ご馳走様でした～

「ちょっとしんどくなってきてねえ」
と、6月からは月曜火曜と毎週二日間定休日になるそうだけど、
いいんです、いいんです、
何よりも、いつまでもやっていて下さい…。

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