とは言え、まだちらほら降る雪景色の中、
昼もとうに過ぎた、ゆるりとしたあったかな空間に腰を下ろし…



早速、お願いした、〆張鶴の「熱燗」一合。

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今日のお通しは、「豚しゃぶサラダ」のところを、気を利かせて下って、
「板わさ」に変えてくれるのが、うれしいな…

と、読みかけの文庫本片手に、ゆっくりと熱燗を楽しんでたら、
丁度、中の主人公が、温サラダのブロッコリーを食べてるシーン。
ブロッコリ、食べたいなあ、



と、ふと顔を上げて、「ちょこっとおつまみ」を見ると…
「菜花」の文字に、ブロッコリがかぶって見えて、咄嗟に注文



さっくりとした菜の花に、しっとりした湯葉を一緒に和えた、
山葵醤油和えが、熱燗に程良く、ほっこり気分を慈しみ…

お蕎麦は、前回食べなかった「せいろ」にしよう、と思っていると、
周りのお客さんに運ばれて行く、「鴨南蛮」に「温辛味そば」。
ぷ～んと漂ってくるかけ汁の香りに、すっかり心そそられて…



あったかいお蕎麦が、途端に食べたくなって、手にした品書き。
そいえばっ、ここではまだ「たぬきそば」を食べていなかった
（結構好きな種物なのに…）

…となったなら… ニヤリ

揚げ玉を別皿で、
さらに玉子の黄身も付けてもらって、の我儘注文～。



…の前に、やっぱり食べたい、「せいろ」も半盛りで頂いちゃう
（いつも我儘聞いて下さり、ありがとうございます）



今日の蕎麦は福井の蕎麦。
角が凛々しく断たれた蕎麦の中に、びっしりと埋まる蕎麦の粒々。
甘皮部分の、様々な色合いの粒が重なり合い、美しい稜線を紡いでる。



手繰り上げると、ふわっと広がる香ばしい蕎麦の香りに、
もちもちっとした歯ごたえが心地よく、かさりと掠める粒の感触。

噛みしめ味わい、飲み込むと…
おおっ！、ぐわっと喉奥からこみ上げ、戻ってくる香ばしい味わい。
あ、これこれ、この味わい、ん～っ、たまらな～い

噛みしめ、飲み込み、じわ～り、じわ～り、
この味わいに、夢中になって手繰ればあっという間。



…と、食べ終えた頃合いぴたりと、揚げ玉別盛り「たぬき」も登場。



彩の蒲鉾に、とろんとした葱まで盛られた「かけ蕎麦」は、
置かれた瞬間に、ふわ～っと広がる、かけ汁のい～い香り



まずは、美しい琥珀の汁を口に含むと、
思わず、はぁ～っと声が出てしまう、
鰹の香りふわっと立ち、上品で美しい味わいが染み入るよう。



中の蕎麦を手繰れば、熱い汁の中でほろりとほどけ、
心地のいい歯ごたえに、粗挽きの溝に汁が絡まるように、
暖まった事で、さらにふわっと立つ蕎麦の風味。

ああ、「まるやま」さんのあったかいお蕎麦も美味しいな～
と、しばし「かけそば」を楽しんで…



途中で、小鉢に盛られた揚げ玉を載せると、
途端に、広がる揚げ玉のコク、さくさくとした感触に蕎麦が絡まる、
「たぬきそば」ならではの、味わいが楽しく美味しく…、



最後には、そおっと玉子を落とし入れ（あ、崩れちゃったっ



ゆっくり蕎麦に絡めて頂くと…
んんん～っ、美味し～いっっ

揚げ玉のさくさくとした食感にコク、
それに、まろやかな玉子の風味が交わった、蕎麦がもうたまらない。
後は、もう一気に手繰ってしまい…



玉子の溶けた汁もすっかり飲みほし、ほおっと心満たされて



しみじみと余韻に浸っているところに出される、
お茶に、うれしいちょこっと甘味は「蕎麦かりんとう」。
ご主人、奥様との会話も楽しいひと時に…

ご馳走様でした～

素敵な、春の雪降る中の、蕎麦屋酒。
ああ、楽しかったなあ。

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