節分の「天狗祭り」で賑わう駅前の盛況を聞きつつ、西口の改札横に伸びる下北独特の雑貨屋さんや、古着屋さんが並ぶ通りを進む。いつしかその店なども途切れ、一番街の入り口をも通り過ぎると、すっかり闇の中の住宅街。
そろそろだろうか・・・、と思い始めたころ、
ふっと目の先に、小さな灯りが目に入る。
まるで、山奥でやっとたどり着いた一軒屋に出会ったような、なんともほっとする心地を感じてしまう 。
久しぶりのお店は、変わらず木のぬくもりあふれた優しい佇まい。
大きく取られた窓からは、暖かそうで柔らかい灯りがこぼれている。
下北沢 「十割蕎麦 くりはら」
扉を開け中へと入ると、何組かのお客さんが楽しげにお酒にお料理を楽しんでいる。
その光景も微笑ましく、入った瞬間に感じる体を包むような優しい空気。
蕎麦打ち見学をなさって、既に一杯始めながら待っていて下さった皆さんに暖かく迎えられ、私も一緒にビールで乾杯~
前回は、厨房目の前のカウンターの席だったが、後ろに並べられたこの一枚板の長テーブルもとても座り心地がよくすっかり寛いでしまう。
挨拶など交わし、さてさてお料理を 。
まずは前回もいたく気に入った、ここ独特の「粒そば味噌和え」。
炒った蕎麦の実はカリカリで香ばしく、控えめに絡んだ味噌の味わいが絶妙。
これは、ビールにもお酒にもうれしい、ちょっと珍しい蕎麦味噌。
そして、気になっていた「珍味三種盛り合わせ」。
まったりとした「豆腐の味噌漬け」に、柚子の香りがふわっと漂うこってりとした「ゆべし」、それにちょっと珍しい「鱈子のニンニク和え」。
中でも気に入ったのが、この「鱈子のニンニク和え」。
粒々感しっかりとした質の良さを伺える鱈子にニンニク独特の風味が交わったもので、これはちょっと病みつきになってしまいそう。鱈子に目がない私にはたまらな~い 。
となったら、早速ビールからお酒に変えて・・・。
ここでのお酒は「鶴の友」一いろ。
上白、純米、特選吟醸の三種があるので一度にお願いして呑み比べ。
普段は陶芸教室をなさっているだけあって、陶器の器のどれもが素敵なものばかり。
蕎麦屋定番メニューの一つ「蕎麦豆腐」は、ねっとりというよりもサックリとしたもの。
敷かれた汁に絡めて頂くと、さっぱりとしながらも味わい深い。
少々お時間がかかります、の出来立ての「出し巻き玉子」。
甘みを抑えた出汁の味のしっとり染みた美しく巻かれた出汁巻きは、お酒にぴったり。
そして、丸く形作られた「揚げそばがき」。
表面がカリっとした蕎麦掻きは、もっちりふわっふわのエア感あふれたもの。
軽やかでいて香ばしく、これは美味しい~ 。
そして、興味があった「春巻き二種」。
エビ、イカ、ホタテが巻かれたものと、鳥の胸肉に蕗味噌を巻いて揚げられたもの。
エビ、イカ、ホタテはもちろんのこと、この蕗味噌の味わいがなんとも言えない風味いっぱいで、これも乙な一品。
次々とお料理は並べられ・・・、「手飼い鶏の利休煮」。
鶏もも肉を焼き、漬け汁に漬けてから蒸して、さらに漬け込んだもの。弾力がありながらもふわっと柔らかい鶏肉が美味しい。しっかりと味が染み込み、皮もカリっとしているので、皮が苦手な私でも美味しく頂いてしまう。
何かお野菜が・・・と、お願いして頼んだ「お新香」。
と、ご主人自ら運んでくださり、お話されるには、このお新香、蕎麦粉で作った糠漬けとのこと。これも珍しい
粗挽きの蕎麦粉をビールで発酵させるそうで、米糠に比べてふわ~と柔らかい甘みのある漬物。この糠床、作ってみたいなぁ。
と、たっぷりお酒にお料理、いろいろと交わす蕎麦談義にすっかり満喫したところで・・・、
そろそろお蕎麦を。
こちらの蕎麦は「もりそば」のみ。
まずは、もり汁が出され、一舐めしてみるこの汁が美味しい
すっきりとした辛口の汁ながら、角の取れた非常に丸みのある奥の深い汁。ふっと香りる鰹の風味もよく、選りすぐった素材で作られたご主人の汁は、さすがと思わせる。
そして・・・、銘々に笊に盛られた蕎麦が出される。
厳選した水と十和田湖産の蕎麦粉十割で打たれた蕎麦。ほんのり緑がかった蕎麦は、瑞々しく輝く、角の立った凛々しい蕎麦。
切り幅にムラのない丹精な蕎麦を手繰り上げると、ふわりと優しく漂う蕎麦の香り。
口に含むとしっかりとした腰。すっと手繰れる蕎麦は歯抜かりなく、のど越しもよく心地よい。かみ締めると、ふわりとこれも爽やかに蕎麦の風味が通り過ぎる。
そのままでも美味しい蕎麦だが、この汁を漬け頂くと、さらに蕎麦に旨味が乗って極上の味わいに。200gというたっぷりとした盛りの蕎麦だが、するり~と頂いてしまう。
ん~、お腹いっぱいの至極の心地 。
どっしりとした水差しのような陶器で出される、うっすらと白濁した熱々の蕎麦湯を頂きながら、ご主人をも含めての蕎麦談義はまだまだ続き・・。
いつまでもお話していたいような、心地に浸ってしまう楽しいひと時。
蕎麦のエキスパートの皆様との、たくさんのお話もとても楽しく、素敵な夕餉に 。
ご馳走さまでした~
ちゃんと覚えていて下さったのが、とてもうれしく、ご主人の笑顔を思い出しながら駅へと。
・・・又、来たいな・・・。
そして、皆様、楽しいひと時、ありがとうございました
*お品書き
盛り蕎麦 1,000円(手挽き10割そば)
粒蕎麦味噌和え 400円、蕎麦豆腐 400円、三種盛り 500円、そばがき 500円、
揚げそばがき 600円、厚焼き玉子 600円、平飼い鴨利久煮 600円、お新香 400円など
エビス生ビール 500円、「鶴の友」正一合 600~800円 など
「手打ち十割蕎麦 くりはら」
世田谷区北沢4-16-10
03-3466-7980
(金・土) 18:30~22:30
(日) 11:30~16:30
禁煙 前回の訪問
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ぜひぜひ、きっと気に入って頂けると思います。
一人だとなかなか、いろいろ食べられないのは寂しいです。
では、ぜひここも一度・・(^^)
私も山葵は欲しいと思ってしまいました・・。
私も、もっと行きたいのですが・・・。
ぜひ、JINさまも一度(^^)。
利休煮はいつもあるメニューです。
今回はすべて、レギュラーメニューをアラアルトで頼んだので、ありますよ♪
とっても、美味しかったです。
そういえば今年になって、まだ行ってなかった。近々、行ってみよう。
でも、これで蕎麦湯の時に薬味があれば完璧なんだけど…。
でも、嬉しい発見が!!「鶏肉の利休煮」って、私の得意料理の一つ。(だって、簡単なんだもん!)
お店で出している所を知らなかったので、うれしいなぁ。他人の作ったものを食べて見たかったので。
いつも、メニューにあるお料理なんでしょうか?
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→ 森のたぬき (03/01)
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