お昼の喧騒が過ぎ去り、表からも静寂な空気が伝わるのを感じながら、開く扉の中は、照明の落とされたしっとりとした空気。ぽつりぽつりと座るお客さんが、思い思いに憩っている。すっとこの空気に身をゆだねるようにして、私もお気に入りの一枚板の大テーブルの隅に腰を落ち着ける。


今日は、よしておこう･･･と、思って向かってきたのだが、　周りのお客さんがしっぽりやっている姿に誘われるように、ついつい頼んでしまった、「辻善兵衛」。

せっかくのこの空間。
ちょっとだけ、ゆっくりとして行こう。


充てには、さっぱりと「お新香」を。
個別の野菜が盛られるのとは違い、こちらの「お新香」は、いくつかの野菜をミックスしてさっと漬けられたもの。生姜の風味の利いた漬物は、しゃきしゃきとして瑞々しく、漬け具合も非常にいい。振りかけられた胡麻が香ばしく、満足なお新香。



この目まぐるしい一週間を回顧しながら、一人ゆっくりと頂くほんのひと時 。

このちょっとした時間だけで、心がすっと穏やかになるのを感じながら、憩うこの時間の幸せ。さてさて･･･、〆にお蕎麦を。
さすがにこの時間、「粗挽きそば」はすでに終わってしまっていたので･･･、まだ食べたことがなかった「つけ汁そば」を頂くことに。



程なくして、目の前に出された「つけ汁そば」。運んでくる途中からふわ～と匂ってくる「つけ汁」に、食欲がぐぐっと湧き上がる。



まずは、いつも粗挽きばかりだったので、久しぶりの「もりそば」を。顔を寄せると、ふわりと立つ蕎麦の香り。



切り幅、長さにもムラのない丹精な蕎麦で、エッジも凛々しく立っている。口に含むと、きりっと冷水で閉められた心地よい感触に、しゃきっとした腰。背筋の伸びたような楚々とした蕎麦で、噛み締めると爽やかに広がる蕎麦の風味に、清々しい喉越し。正当な美味しさをしみじみと感じながら、さてさて、「つけ汁」を･･･。



「豚バラ肉と三つ葉の温かい漬け汁」との汁には、豚バラ肉が何枚か豪華に浮かんでる。その横に散る三つ葉に加え、揚げ玉も添えられているのがうれしい。



これに蕎麦を絡めて頂くと･･･、これが美味しい～
ローズ豚を使っているとの、この豚の脂具合が汁に溶け込み、それが蕎麦と程よく絡まる。鴨とは又違う、豚肉の旨みが十分に溶け込んだ汁が美味しい



しかも、この肉が想像以上に美味しくてびっくり。脂身が苦手なので、躊躇しながらこの脂たっぷりのバラ肉を頂くと、蕩けるような柔らかさ。脂の部分がこれが甘みを感じられ、すっかり夢中で食べてしまった･･･　こ、この豚肉、美味しい～っ。

さらにうれしいのは、この汁には揚げ玉に加えて、蒲鉾などの千切りも沈んでいたりと具沢山。すっかり気に入ってしまい、大満足な漬け汁蕎麦。
粗挽きのお蕎麦で食べるのは惜しいかもしれないけど、この汁は本当に美味しい

柔らかく白濁した蕎麦湯を注ぎいれ、すっかり頂くと、ほかほかになりながらの至福の心地。
ん～、これもいいなぁ･･･

いつも大満足な「きびや」のお蕎麦で、心もお腹も満たされて･･･
今日もご馳走さまでした

今度来る頃には、新そばかしらん～･･･


＊辻善兵衛　700円、お新香 350円、つけ汁そば 900円



「蕎麦　きびや」

東京都三鷹市下連雀4-16-48
0422-42-3520
11:30 ～ 17:00
（土日 11:30～14:30/17:00～20:00）
水曜休 　店内禁煙
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