開け放たれた扉を入った店内は、
吹き抜けの高い天井に、
木肌を残した壁に包まれた、ヨーロッパの山荘風。



「お好きなところにどうぞ～」
女将さんの暖かな声に迎えられ、
腰を下ろしたら、もうそれだけで憩い度満点 。



出された冷たいお水が美味しく、
置かれた品書きは、
「ざるそば」に「温つけそば」、



「かもせいろ」に「蕎麦三昧」と、すっきりシンプル。

初めての店、「ざるそば」と迷いつつ、
「温つけそば」が気になって、
私は「温つけ」、彼は「かもせいろ」に決め注文 。



窓から見える木々の緑に、
鳥のさえずりに耳を傾けていれば程なく、
たっぷりの汁を添えたお蕎麦が到着。



蕎麦は、笊にこんもりと盛られ、
これほど切り斑があるのも珍しい、
極細に太切りが入り混ざる大らかさ。



香り爽やかに、手繰った蕎麦は、
きりっと冷水に〆られた気持ちのいい腰に、
八ケ岳の蕎麦らしい、柔らかな甘みがあり、



熱々の汁に潜らせた蕎麦が旨い。
乱切りならでは、異なる食感が妙に楽しく、
蕎麦の甘みがさらに膨らむ 。



とろとろに煮込まれた葱に椎茸、
しゃきっとした三つ葉に、
存在感のある柚子の香り。

「けんちん汁」とは又違う、すっきりとした温汁で、
汁にどっぷり浸し具を絡めていると、
たっぷりの蕎麦もあっという間 。



一方、彼の「かもせいろ」は、ぶつ切りの鴨がたっぷり。
ほんのりレア状でふっくらと柔らかく、
鴨好きにはたまらなそう。



八ケ岳の空気の美味しさもここでのご馳走。
蕎麦湯を注ぎ頂いて…

ご馳走様でした～

下界のいろいろな事も忘れる森の中、
ほっと心やすらぐひと時。
あとひと月も過ぎたら、紅葉も見事だろうなあ 。

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