見知った花番さんに迎えられ、
入った店内は、ＢＧＭもないしんとした静けさ。



それが何だか心地いい。
どこか茶室にいるかのような、
凛とした空気流れる、和の落ち着き 。



お茶をすすり、置かれた品書きは、
定番の蕎麦のメニューだけ、だけど…



壁に貼られた品書きが魅力的 。



季節のお蕎麦がいくつか並び、
その下には、「蕎麦屋酒をやるにあたり」との、
丁寧に書かれた一筆。

それに従い、早速注文。
お酒はおまかせで、熱燗（上燗）一合と、
小鉢をふたつほど。



待つこと程なく、出された蕎麦前の一揃い 。



「秋鹿」　純米吟醸　生酛　山田錦　二年囲い
燗付け具合もぴたり。



しかも、冷を猪口一杯添えてくれる、
飲み比べができるようとの配慮が嬉しい限り 。



酒のお通しは、切り昆布の煮物
柚子をほのかに利かせ、何気ないようでこれが旨い。



つまんでいる間に届いた、
器も素敵な、二つの小鉢。



「ほうれん草とほたるいかの酢味噌かけ」に、



今が旬の「蕗味噌」、
どちらもこの酒にぴたり、しみじみと美味しい。

一人静かに、ゆるゆると憩いつつ…、



〆の蕎麦を考えるのも楽しいひと時。
この寒さ、「かき玉」の文字にそそられ、
「きのこのかき玉せいろ」と迷ったけれど・・・、




「吟」さんと言ったら納豆、
温かいつけ汁の「卵納豆せいろ」 。



その横に置かれた蕎麦は、茨城の常陸秋そば。



手繰り上げた途端に広がる、ふっくらとした香り。
甘皮が透ける、美しき繊細な細切りながら、
腰はきりっと〆り、しかもしなやか。

ふわっと香ばしく、後から甘みが広がり、
このまま食べたくなる程、とっても美味しい 。



そのそばを、潜らせた汁は、
優しく柔らかく滋味深く、
さっと温まった蕎麦は甘みが膨らみ、



ふわふわの玉子の中から、納豆がほこほこっ　、



胡麻油で炒めた納豆は、独特の匂いも皆無、
焼いた葱は、とろ〜と甘く、



汁はそのまま飲んでも美味しく、
汁をすすり、たっぷりと蕎麦に絡めて手繰り…、



中に沈んだ海苔が、納豆に卵に絶好。
手繰る毎に楽しい、手繰る毎にほっこり、



気付いた蒸篭はすっかり空っぽ。
蕎麦湯は、濃厚風味豊か。



注ぎ注ぎ、すっかり飲み干して・・・

ご馳走様でした〜

決まったメニューにとらわれない、今の「吟」が楽しい。
「きのこのかき玉せいろ」も気になるし、
又近々訪れよう 。

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