暖簾をくぐり、ゆっくり格子扉を開けば、
「いらっしゃいませ～」
笑顔のかわいい花番さんのお出迎え 。

「お好きなところにどうぞ」と通され入っていけば…



何もなかった壁に、阿部さんの鮮やかな手作りアートが掛り、



愛らしい置物もあちこちに置かれだし、
「竹やぶ」らしい、手の温もりが加わり始めてる 。

すっかり昼時すぐた午後3時すぎ、
しっとり落ち着いた店内の、奥のテーブルに腰を下ろし…



しんしん冷えた体に、まずは熱燗で暖まろう。



早速お願いした、「燗酒開運」一合。



「お通しです」と添えられた小皿には、充てが二種。
「山葵菜のかえし漬け」に、「素揚げした海老の頭」…



と思ったら、素揚げし佃煮風に味付けされ、
カリカリと軽やか香ばしく、ほんのり甘く、これは美味しい 。

この「お通し」だけですっかりうれしく、
改めて品書きを開きみれば、



一週間ことこと炊いた「にしん煮」に、
好物の「ぜんまい煮」に、「お豆腐」は生ユバ付。
「竹やぶ」独特のラインナップ 。



しかも別に、日替わりらしい品があるのが好ましく、



手頃な「おためしコース」や、「おまかせコース」、




丁寧に手書きで認められた、品書きを一通り眺め…

前回、「粗挽きそばがき」に「せいろ」「田舎」と食べたし、
今日は、「かけそば」を食べてみたい 。

ならば…、「一週間じっくり炊いた」にしん、
「竹やぶ」仕込の、「にしんそば」を頂こう。



程なく置かれたお盆に、目がきら～ん 。



艶々と銀輝りした半身鰊の、なんという美しさ　。



箸を入れれば、ほろっと零れる身の柔らかさに、
しっかりと味の染みた、鰊の上品な旨みたっぷり。
さすがだ、これは素晴らしい 。

くぅと残りのお酒を一気に飲みほし…



丼を見れば、琥珀に澄み清らか透明、



まずは蓮華ですくい口に含めば…、

思わずはぁ～っと声が洩れてしまう、
奥深き出汁が奏でる、すっきりとしてまろやかな、
実に美味しいかけ汁 。

しばし蓮華を置けず、何度もすくい感じ入り…



蕎麦を手繰れば、甘皮の陰影がほのかに透け、
汁に浸ってほろりとし、舌先に感じる穀物感。
暖まった蕎麦は、穀物の芳しい甘みがじわじわ広がり…

こ、この温そば、すごく美味しい

すっかりうれしく、何度もうんうん頷き味わって…



途中で、鰊を蕎麦の上に浮かべ、そっと崩せば、
じわじわ～と鰊の旨みが汁に染みだし、これは溜まらない。
後ひき、クセになる旨み満点 。



ほろほろ柔らかな鰊を蕎麦に絡めたり、
にたにたと、後は夢中で手繰り手繰り…



鰊の溶けた、極上汁をすっかり飲み干し…

はぁ～、と余韻に浸っていれば、
すっとお茶を差し替えて下さる心遣いに、



最後に頂く、大好きな「水あずき」。



ヒンヤリとしたさっぱりとした小豆の甘みが、
食べた後にとても気持ちいい。

新しく入ったという花番さんの気持ちのいい応対に、
お料理にお蕎麦も大満足。
着々と軌道に乗り出しているのがうれしく…

ご馳走様でした～

今度は…、じゅわ～っの、「天ぷらそば」を頂こうっと。

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