夕方早い時分でも、ちらほらと寛ぐお客さんの姿がある、
中休みないお店ならではの、心地のいい空気。
すぐに迎えてくれる花番さんは、にこやか丁寧気持ち良く…




通された大テーブルの端に腰を下ろし、
広げてくれた品書きを手にし、



まずは蕎麦前、菊正宗「熱燗」一合に、



「おすすめ」の中からお願いした、
「浅利と根三葉の酢味噌和え」はたっぷり、1人では多いくらい。

つまみつつ、今日の疲れを癒し熱燗でしばし楽しみ…



お蕎麦は何にしようかな。
改めて品書きを開き眺め…、

久しぶりに、素の「せいろ」が食べたいな、
鶉のつく「ざるそば」を頂こう 。



程なく出された蕎麦は、使い込まれた蒸篭に盛られ、
はらはらと散らされた、千切り海苔。



愛らしいベージュの色合いの蕎麦は、きりっと角立ち、



まずはそっと蕎麦だけ手繰り口にすれば、
しっかりとした弾力ある歯ごたえ。
風味は強くはないが、腰加減喉ごし、申し分のない旨さ 。

そっと浸す汁がこの蕎麦にぴたり。
鰹出汁ふわっと広がりまろやかで、蕎麦の旨み引き立てる。



それでは、と海苔に山葵を乗せて口にすれば…

これは旨いっ

「花巻そば」の磯の香ばしさを楽しむのと同様、
蕎麦に海苔の風味が豊かに重なり、
ほろりと溶ける海苔の質の良さ。

これまで邪魔だと思っていた海苔だけど、
質のいい海苔だと、こんなに美味しいものなんだ、
と、これまでの概念が覆るよう。

さすが渡邊さん、このざるそば、とても美味しい 。
すっかりうれしく蕎麦に海苔に、二つの旨みを楽しみ、



最後に、添えられた鶉の玉子を汁に割り入れて…、



わくわくしながらかき混ぜかき混ぜ、



そろりと蕎麦と海苔に絡めれば…
日本人なら抗えない、滋味なる旨みの饗宴 。
あとはもう夢中で手繰り、あっという間に笊は空。



熱々蕎麦湯を注げば、ぱっと煮え立つ鶉の、
まろやかな蕎麦湯にほっとさせられ…

ご馳走様でした～

すっと入れる気さくさに、ほっとできる居心地の良さ、
花番さんは皆かわく丁寧。
やっぱり、渡邊さん、ここに無くてはならないなあ…

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