初めて伺った時、近場にこんないい店があったのか・・!と驚嘆したものだったけど。。
今年に入って2度程足を運んだけど、休みだったりで何となくご無沙汰してしまっていたところ。
烏山へ行くのに、わざと寄り道をして明大前で下車。
「そば 冬林」
鮮やかな青い暖簾がすがすがしい。
そして横には・・・、
ああ、ここもだ
「新そば」の文字。
この店らしく、几帳面な楷書で。
そしてその横には営業時間の変更が貼られてる。
ふう、一年ぶりくらいかな、と思いながら戸を押す。
・・・しん。。。
相変わらず、静寂したさっぱりとしすぎるくらいの店内。大きなテーブルが二つだけ。
ようやくしばらくしてご主人が出てきてくださる。
ん?あれ?あの・・・奥さんは今日はいないのかなぁ?
「あ、どうぞ」と声をかけられて、奥のテーブルの一角に腰を落ち着ける。
改めてぐるりと見渡すと、ここまでさっぱりとした店は、他にはないだろう・・と思えてくる。BGMもなし。張り紙もお品書きも一切ない。
こういった静寂の中の空間も又不思議と落ち着き、私は結構好き。
ちょっと間をおき、冷たいお茶とお品書きを、やはりご主人が持ってきて下さる。
考えてみると、ご主人にお目にかかるのは初めて・・・。
いつも、厨房の中で寡黙に、真剣に蕎麦をゆで、盛り付けている姿を垣間見たことしかなく、もっと厳格な方かと思っていたが、とてもにこやかでちょっとシャイなご主人。。
あるいは・・キチンとした奥様の影響があったのかもしれないな。
お酒を・・・、とも思ったけど、昨日彼のお土産のお酒で結構飲んでしまったし、久しぶりだしきちんと(?)蕎麦と向き合いたい気持ちもあって、今日は「せいろ」をシンプルにお願いする。
そして・・・やっぱり垣間見えるご主人は、とても真剣に蕎麦に取り掛かっていて、しばしして、ご主人自らもてなしてくれた・・「せいろそば」。
この店独特の、白磁のやはりシンプルな大降りの蕎麦猪口。
細めの塗りのせいろには、細切りのエッジの鋭い蕎麦が丁寧に盛られている。
少ないけど、ここの山葵はやはり美しい緑色・・・
ひとしきり眺め、それでも急いで口に運ぶ。
んー、いい香りだ・・・
芳しく、豊かな香りが鼻腔を擽る。なんていい香り。
そして、しっかりとした腰。
噛みしだくと、蕎麦の風味が漂い、後にほのかな甘みを残していく。
そうだ・・・この蕎麦だったんだ。
つゆは薫り豊かな濃い目のもの。出汁とかえしがうまい具合に溶け合ったもので、蕎麦とのバランスが絶妙・・。
ナチュラルな蕎麦湯で飲むと、さらに感じる旨さ。
・・・と、もう少し・・食べてみたくなり、
おかわりを、「かけそば」で頼んでみる。ここで暖かいそばは初めて。
ちょこちょこと、除き窓(?)からご主人を伺いながら待つと・・
しばしして、目の前に初めての「かけそば」。
目の前に置かれた瞬間、天盛りの柚子の香がふわっと立ちこめ、後からやわらかい鰹の風味が漂う。まずは・・・と汁を。
・・・・おいしいっ!
せいろの汁とは又全く違う、まろやかで、鰹の上品な出汁が豊かに溶け出しているもの。んんー、よく「かけの汁で酒が飲める」と聞くが、これもそれそのものだ。。これでお酒が飲めそう・・・
して、蕎麦は心持ちせいろより太め。
暖かい汁を張られたそれは、もちもち感がさらに増し、これもおいしい♪
・・・カロリーが・・なーんてどっかへ・・。
最後まで汁を飲み干してしまい心から満足する。
お勘定を・・と席を立つと、本当にシャイな感じのご主人が、やはり出てきてくださり、奥様を訪ねると、お母様が具合をちょと崩してそちらの看病に出ているとのこと。話しつつ、ご主人の今どき珍しいくらいの人柄のよさを感じてくる。
んー、もっともっと、いばっていたっていいくらいの蕎麦ですよ・・・なんて、思ってしまう。
蕎麦の感想を述べると、又とてもうれしそうにして下さり・・・
尋ねると北海道は沼田の蕎麦とのこと。「又、ぜひいらして下さい・・」との、ご主人の笑顔に・・・、又、来よう・・・と思えてくる。
そして・・・週末の夜には出ている・・との奥様にも、又、久々に会いたいな・・と。
奢ることなく、そしてなんとも静かな貴重なお店。
やっぱり、ここは住宅街の名店だよ・・・・
冬林
東京都杉並区和泉2-9-21
03-3325-3795
(月)11:30~14:30
(火・水・木)休み
(金)11:30~14:30
(土・日)11:30~14:00/17:00~20:00
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大丈夫です♪
確か国分寺で、もう少し落ち着いたら、移転開店されるとお聞きしています。
開店したら・・
私も早速訪れたいな、と思っています。
…ラーメン屋さんになっていました。
店構えは以前のままで、それがまた物悲しく思えてしまいました。
最後に伺ったときは心配になるくらいに空いていたのですが…
どちらででも良いので、またお店を開いていただきたいものです。
でも、実に寂しい。
三鷹も寂しいし、杉並、世田谷も・・・・・・・。
再開のお知らせを、ただただた楽しみにしたいです。
(あの空間、あれが、又、よかったのに、なあ…)
期日は未定ですが、いずれ国立方面で再開…される…らしい…ですが…期日場所その他は未定です。
水埜、おの、加賀、冬林と、このあたりはどうなっているのだ…
私も久しく伺っていないので、詳細が分からないのですが、確認したいです。。
それと…
そんな事が。。。
私もとても悲しいです。
こちらも、ちょっと・・
偵察してきます。
ずいぶん、私もご無沙汰してしまったのですが、今は、ご主人お一人でなさっているのですね・・・。
鴨なべ、私も一度食べてみたいです(^^)
えっと・・、
かなりショックでした・・・。
もうご存知かもしれませんが、本日久しぶりにお伺いしてみたところ営業されていました。ただしご主人のみで。
こちらのお写真の3枚目のスペースが個室のようになっていましたが、どうやら打ち場にされたようです。
「お酒」と「かけ」「せいろ」をいただいてきました。やはりどちらかといえば冷たい方に合わせた印象は以前の通り通りです。
やはりこちらで一度は「鴨なべ」をいただいてみたいですね。
暑さから、ちょっとご無沙汰していたのですが、そんなこととは。。
私も詳細、知りたいです。
あの蕎麦、又、食べたいなぁ・・・
ずっと休業しているみたいですが、「冬林」ってどうなってるかなあ?
8月全休はありそうな話ですが、お知らせの張り紙もない。改装休業という噂はきいていました。今日通りかかってみると、外壁に足場が組まれていました。全面改装ならばいいのですが。まさか、これほどの店が…。
どなたか情報をお持ちではないでしょうか?
私は、伺う度に、茶室にいるような感覚を覚えています。
あの緊張感をも、たまらない・・・。
鴨せいろ、ぜひ今度試してみます♪
わたしも、いっぱいそば箸さんの情報を、頼りにさせてもらっちゃってるんです。ありがとうです♪
でもでも、ここ、まだだったんですかっ。。
是非!行かれてみて下さい。いい蕎麦です。
あ、営業時間は、ちょっと注意してくださいねっ(^^)
明大前はほんの目の先です!行ってみたい。
本当に最近ここから行くお蕎麦屋さんを探すようになりました。
貴重な情報源です
きっと、お気に召すタイプだと思います。
私・・・。
ねっ?ぐい呑み様っ♪
やはり、そうなのですか。
う~ん、冬林さんとは、ご縁が有るみたいですね。
これは、行かなければ。
あ、ご覧になられていらっしゃるのですか。
お恥ずかしい限りで。(笑)
yuka様
はい、呑み屋は、廃業してしまいまして..
その後、怪しいバーが入ったときに全面改装したようなので
面影は、今は無いかと。
冬林さんは、行け行けと回りから言われているのですが、
未訪です。
ちょっと遠い上に、営業時間が不安定と聞いて
二の足を踏んでおります。
相変わらずいい蕎麦でしたよん。
花まきさんも、ぜひ、瞑想しに・・♪
営業時間が変更になったんですね。自分のHPも直さなくては。情報、助かります。ありがとう。
冬林・・・小平にあったなんて知りませんでしたっ。。
その時も、やはり今のような店内の作りだったのかしら。
そうそう、いいそばなんですよ。。でも、わたしも不発弾をくらっていたので・・・(^^;;
久しぶりに食べて、やはり再認識しました。
新そばとのこと、是非です。
真秀様
さすが、お詳しい・・・。
でも、「昔よく行っていた・・・」ということは、今は行かれていないのかしらん。。
こちらには・・・?
機会があったら、是非、食べてみて欲しい蕎麦でした。
たろうママ様
はいっ!私も、今までいつも、茶室で頂いているような、厳粛な気持ちだったのですが、
それは、もしかしたら奥様の存在の力だったのかも・・。
相変わらずの店内でしたが、どこかひとつ奥様がいないことでかぴんっとしたものが、ちょっと弱かったような・・。
やっぱり、奥様とご主人のペアが、冬林らしさなのかも・・・なんて思ってしまいました。
蕎麦は、でも、とてもよかったです。
そうですね、跡地に居酒屋ができていますから、間違いないと思います。冬林は器もオリジナルで、感じのいいものですよね。
おかみさんのサービスも素敵でした。
また行きたいです・・・
ひょっとしてその場所は、道の反対側に地酒系の酒屋が有る場所でしょうか?
いや、昔、よく行っていた飲み屋が、
どう見ても打ち場のある蕎麦屋の造りだったのです。
醍醐の近くで、店の入った時期も一致しますので、
ひょっとしたら、冬林の跡地だったかと思いまして。
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