がらがらと扉を開くと…

玄関を兼ねた土間に、二つ置かれたテーブルの一つは物置き状態、
何とも雑然とした店内に、一瞬躊躇するが、
その片隅で、近所の方がビールを前にテレビを見ている、
なんともレトロな、長閑でアットホームな空気 。

親戚のおばちゃんちに来たような、気さくな空気にほっとさせられ、
「奥のお座敷ど～うぞ～（＾＾）」
田舎のおばちゃん風温かな笑顔の女将さんに通され、
横のお座敷へ、靴を脱いで上がれば…



衾取り払った二間続きのお座敷には、
ゆったりと置かれた、木目を描く、様々な形の立派なテーブル。

奥ではお孫さんが遊んでいる、
自宅を兼ねて営んでいる、ほのぼのとした家庭の温もりが、
なんだかとても心地いい。

「決まったら呼んで下さいね」
とお茶を出され、年季の入った品書きを手にすると…、



せいろに深山、うどんがそれぞれに、丼もいくつか。



禅味会ならでは、「鴨すき」などの鍋ものがあり、
さらに、これは楽しい、10人前の「一升そば」。



天麩羅に一品料理も確認し…、

すぐに私は「鴨汁そば」に決め、
彼は、「鴨丼」を選びお願いすると、



「ご飯つけましょうか（＾＾）？」
とにっこり。
平日のランチは、半ライスとお新香のサービスがあるよう。
さらに、鴨丼にもお蕎麦がうどんが付くそう。



頼み、改めて品書きを開き読んでみると、
お水は八溝川上流水を使い、
市川一茶庵は、ここで修業をした方だそう。

由緒あるお店だったんだ 、と驚いていると…



「はい、お待たせしました」
と二つのお盆に、たっぷりの茄子のお新香が 。



俄か賑やかになったテーブルを前に、まずはお蕎麦。
笊に盛られた蕎麦は、端正に切り揃った田舎蕎麦風細切り。



やや平打ち気味の蕎麦には、細かな星が混ざり、
手繰り口にすれば、冷水にキシット〆られたしっかりとした腰の、
固めの歯ごたえが心地いい 。



鴨汁は、じっとり表面に鴨の脂玉が絵を描き、熱々たっぷり。



そろりと浸し頂くと、しっかりとした蕎麦は腰失わず、
やや濃いめの、鴨の旨みがじわりと染みた汁で、
ほっと暖まった蕎麦は、甘みが増しこれは美味しい 。



やけどしそうな葱に、中には色々な部所の鴨肉もごろごろ。
さっぱりとして柔らかく、これもいいな 。



すっかりうれしく手繰っている一方で、
湯気立てる「鴨丼」も美味しそう 。



鴨肉に牛蒡、葱が卵で閉じられた柳川風、
鴨汁の出汁がご飯に合うようで、彼もとても満足そう。



しかも、添えられたうどんが、艶々ぴかぴか美しい 。



気になりちょっと食べてみると、しこしこっとしたしっかりとした腰に、
つるるんっと喉越し滑らか、小麦の味わいが広がり、
このうどん、とても美味しい　。



しかも、二人に添えられている、蓋のされた小鉢は、
これもうれしい、茶碗蒸し 。



珍しい、鴨汁出汁の茶碗蒸しで、
えのきに、鶏肉にナルトが沈みふるっふる、
絶妙な味わいで、これも美味し～い 。



サービスの半ライスには、鴨肉を乗せ、
鴨汁を回しかければ、鴨雑炊。



いかにも自家製の、たっぷりの茄子の浅漬けも実に旨いっ 。



さらりとした熱々蕎麦湯をじっくりと頂いて…

サービスたっぷり、お腹も一杯、体もすっかり暖まり、
和やかで、温かく、心もお腹も大満足。

ご馳走様でした～

茨城の田んぼの中で、一茶庵縁の禅味会老舗のお店。
市川一茶庵にも行ってみたいな 。

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