日に日に昼間の時間が短くなってきた今日この頃、
秋と言ったら、…やっぱりお月見 。
満月には何日か早いけど、今年も又、縁側で愛で一献傾けよう~
と、落合の瀟洒な家々の並ぶ、閑静な住宅街の中、
謎めいた看板が、そっと灯る古民家で、そろそろと集まり、
お月見しながらの、蕎麦屋酒 。
年月培った板張り壁が、懐かしい心地にさせられる、
昭和初期の古民家のこの佇まいだけ、すでに心和むよう…。
落合 「そば処 遊」
秋の日はつるべ落とし、すっかり夜の帳に包まれた縁側には…
炬燵が用意され、足を突っ込み座れば、足先ぽかぽか 。
横に毛布を置いて下さる、心遣いがうれしいな。
4人揃っての今夜は、軽めのお鍋のつく「おまかせコース」。
まずは、お酒、お薦めされた「玉櫻」純米生原酒をお願いし…、
籠に幾つも盛られた猪口から、各々好きな猪口を手にとり、
頭上で夜空を照らす、お月様に乾杯~♪、
すっきりとしてキレよく、口当たりの優しい、
ふわりと旨みの広がる美味しいお酒で、ほっこりとしていると…
程なく、「前菜の盛り合わせ」が大皿に盛られ、目の前に出される。
この前菜だけで、もうお酒が進むというもの…
ほこっとしてまろやか、自家製マヨネーズで作られた「ポテサラ」に、
ひじきと和えられた、しっとりと炊かれた、
しみじみとした心地になる「おから煮」。
後に辛さが残る南蛮味噌に、アンチョビが添えられた冷奴の、
このお豆腐も、美味しいなあ…
無農薬・不耕起の「ほうれん草の胡麻和え」は、
しゃきしゃき感強く、昔のほうれん草の味がする。
甘辛の味よい、こってりとした「秋刀魚の佃煮」の盛り合わせに、
これだけでもう、お酒がくいくい 。
秋の夜の夜風を肌で感じながら、「宗玄」の燗酒のお代りをし、
ふと顔を上げれば、縁側で飲んでいるような酔狂は我々だけ?(笑)
どの部屋からも温もり溢れた灯りが、窓に灯り、
外から見るのも希少な風景、ああ、縁側っていいなー。
と、前菜からすっかり盛り上がっている我々の前に、
すっと出された「炒り銀杏」を、割り割り口に運んでいると…
お鍋の具、軍鶏肉が到着~。
つつきながら、ぐつぐつ煮込んでいる時が又楽しく、
取り分け頂いた「しゃも鍋」の、この汁が素晴らしく美味し~いっ。
出汁の染みた熱々豆腐に、ねっとりとして甘い長葱、
軍鶏肉はふっくらとして、力強い旨みがあり…
ん~、これは美味し~い 。
最後にはもう直箸でつつきながら、汁まですっかり頂けば…
藁焼きの燻し香がたまらない、「鰹のタタキ」
さらに…、これも「遊」での楽しみな大好きな一品。
「魚の干物盛りあわせ」
秋鮭の、ほろりとしてしっとり、脂の乗った旨みに、
かますの上品でふっくらとした身はたまらない。
イカ好きとしては、このゲソの干物はもう言うまでもなく、
初めて聞いた「ハガウオ」との干物の、味濃く乙な旨さに、
熱燗が実によく合い、寒さなんて忘れてしまう程 。
「今日はちょっと玉子が少なくなっちゃって…」
と、申し訳なさそう~に、ご主人。
わかりますわかります、店内満席、
いつもよりも小ぶりだが、ふっくらジューシー玉子の味濃い、
この玉子焼きは、やっぱり絶品~。
ぽりぽり歯ごたえのいい、さっぱりとした「塩ラッキョウ」に、
自家製「塩辛」の美味しい事…
最後に、ゆっくりとお月様を仰ぎ見て…
いよいよお蕎麦を頂こう 。
程なく出された蕎麦に、柔らかく照らす、月明かり。
長野奈川の蕎麦に拘り打たれた蕎麦は、キリリと角が立ち、
月明かりに反射し煌めく、びっしりと埋まる蕎麦の粒。
思わずフラッシュをたいてみたら、この粒の豪華さ…
顔を寄せようとする間に、ふかふかと香ばしい香りが漂い、
口にすれば、もちっとした強くしっかりとした歯ごたえ。
キシキシっと粒の感触をダイレクトに感じていると、
じわんじわんと広がる香ばしさに甘み、
穀物の持つ豊かな味わいに、手繰る手が止められない。
んんん~、美味し~い 。
最近、「月見そば」が続いていて、
久しぶりに頂いた「遊」の蕎麦にすっかり魅了されてしまう。
美味しかった…、とほおっと熱々蕎麦湯を頂いていれば、
これも楽しみな、最後のデザート、
奥様ハンドメイドの、懐かしい、昭和の「プリン」。
美味しく楽しく、月明かりの下でのひと時は、まるで夢のよう。
ふっと時の経つのも忘れた、月見の宴に…
ご馳走様でした~
お昼の営業も始められた「遊」さん。
今度は、小春日和のぽかぽかな昼下がりに、
お昼寝とセットで伺ってみようっと…。
「麺工房遊・そば処遊」
新宿区西落合3-24-14
03-3950-9001
18:00~22:00
日曜・月曜・祝日定休
禁煙
お店のHP
2012年 5月17日 「山菜三昧」コース
2010年10月23日 「縁側で楽しむ月見の宴」
2010年 5月27日 「山菜コース」で頂く、流れ「月見の蕎麦の会」
2008年 4月18日 雨の中しっとりとお酒に蕎麦
2005年 6月 8日 憧れのお店で、縁側で頂く夜酒に蕎麦
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