春の終わり頃頂いた、衝撃の「ちいずからめそば」。
次は、「納豆むうどん」も食べてみたい…と思っていたら、
「それは是非、食べに行きましょう!」
と誘って頂き、とてもうれしく、予約をした二か月前。
あの時は思ってもいなかった今の境遇に、やるせない心地に胸が痛むが、
せっかくのこの予定、顔を上げて明るく、行ってこよう 。
銀座8丁目8の8、銀座8(エイト)、
末広がりの福いっぱい、お料理とお蕎麦ときっと福も頂ける…
高級感漂うビルの地下、降りればすぐ目の前に、
しっとりと暖簾の下ろされた、格調高き扉が出迎えている。
銀座 「銀座 矢部」
記憶に新しいカウンター席に、待ち合わせていた方の顔を見たら、
ほんの数か月前、一人でドキドキしていたのに、今日はとても心強い 。
やっと…、初めて、ご主人矢部さんに声をかけて頂き、
お話ししてみたら、気さくでお茶目なチャーミングなお方
まずは、ムシムシした陽気に喉も乾いた、生ビールをお願いし、
今日の宴に、ちょこんっと乾杯~。
くぅっと喉を潤わせていると早速出された、「海老そうめん」
上品な汁がさっとかかった、「そうめん」?を口にすると…、
な、なんて濃厚な海老の旨み、甘みが濃いんだろう
車海老とすり身のみで作られたそうで、
練り物好きとしてはどんぴしゃ、美味し~いっっ
鶉の玉子の温玉が又円やかに絡まり…
こ、これだけで早くもうっとり。
さらに、次の膳にも目がキラーン 。
まったりとした濃厚かつ上品な乙な味わい、「アンキモの山椒煮」に、
これも肴臭さ一切なく脂の乗った、淡路島のごま鯖の「押しずし」
そして、こ、この雲丹~っ
言葉にならない雲丹の美味しさに、しゃきしゃきの「ハス芋」。
そして、これが又びっくりさせられた、
濃厚な自家製湯葉に、上にかかったのは’もやし’の銀餡。
出汁で煮込んだかと思う程の濃厚な湯葉、
それにかかったもやし餡の、ぷちぷち感がたまらない心地の良さ。
このお料理に、もう我慢できず…、早速お願いしたお酒は、
氷の張った桶に、銀製酒器で注がた「墨之江」。
ああ…、幸せ 。
やっぱり、生きているって素晴らしい。
と、カウンタ越しに、着々と肴をさばく矢部さんと、
ちょこちょことお話しさせて頂くのも、有難く…
食べ終える頃合いを見て出された、蓋つきお碗。
空けてみれば、裏側の絵付けの美しさは見目楽しく、
中は、澄んだ汁に浮かぶ、鯛切り身の「すまし碗」。
どこまでもが上品な、すっきりとした品ある出汁…
身に箸を入れれば、ほこほこっとほどける、身ばなれの良さ。
ああ、体に心にしっとりと染みていく…。
飲み終えほっこりとしていれば、次の皿に瞳が閉じられないっ。
美しい、美しい、初めて頂く「鱧の薄造り」に、
添えられたのは、大好物「眞子鰈薄造り」。
鱧の身のの透ける美しさ、そっと口にすれば、
ん~っ、意図せず声が出てしまう、
しっとりとした歯ごたえに、次の瞬間ほろっと溶け、
口に残る、エレガントな旨み…。
しかも、これが、魚卵好きには悩殺もの、鱧の卵。
ゾクゾクする程鮮烈なぷちぷちと弾ける、輝く粒 。
それを、鱧に添えて食べたら…、表す言葉がもうな~い 。
眞子鰈は、きゅっと身が締り、洗練優雅、素晴らしく、
ああ、もう、しばらくお刺身他で食べられなくなっちゃいそう。
と、すっかり感動し食べ終えれば…
今日のお勧めメインの膳、「新秋刀魚の塩焼き」が。
甘み濃い枝豆に、とうもろこしの掻き揚げが添えられ、
皮目パリっと焼かれた秋刀魚は、箸を入れれば弾けるように裂け、
身からじゅわっと脂が浮き出る、脂の乗りよう。
こっ、これ又たまらな~いっっ。
早速「房島屋」の熱燗を頼み、しばし無言になり秋刀魚に没頭。
美味しかった…と、余韻に浸っていると、
すっと出される、清々しい「じゅん菜酢」。
周りのゼラチンがぷるっぷる、爽やかな酢の物に仕立てられ、
すっきりとしたところに、今度はほっこり、
「蛸の旨煮と石川小芋の炊き合わせ」。
蛸は柔らかく味がしみしっとり、里芋はほくほく上品に炊かれ、
しゃきっとしたオクラのほのかな粘りにほっとさせられ…
銘々猪口一杯づつ頂いた、小布施のお酒、濁り酒。
これをゆっくりと頂いて、そろそろお蕎麦を頂きましょう…
と、まずは、又食べたくてリクエスト、絶品「ちいずからめ蕎麦」
頼むとすぐ、チーズを専用の卸し金で摺り始め、
一人分でもたっぷり、さっくり盛られたチーズの粉雪。
そして、オリーブオイルで和えられた十割蕎麦も続いて置かれる。
まずは、そのままの蕎麦を手繰り、口にすれば、
ああ、やっぱりやっぱりこれっ、美味し~い 。
ほのかな塩味に、オリーブオイルの円やかなコク。
心地のいい腰を噛みしめれば、豊かな香ばしさに甘みが広がる。
こ、このまま全部食べてしまいたい…
と、やっぱり思ってしまう蕎麦の美味しさ。
そ、こ、に…
早速、さらさらふかふかのチーズを振りかけ…
絡めた蕎麦は、さらに上行く、魅惑の極み。
口に入った途端に、ふわっと解けるチーズに、
口の中でまとわりつき交わる蕎麦の、この筆舌尽くしがたい快感 。
いかん…、このまま全部食べちゃいそう~
と思った矢先に、熱々の出汁が出され、
残りのチーズを全部盛り、そろそろと出汁を注げば…
瞬間にしてほろろろろろ…と溶けるチーズの羽衣。
はらりねっとり絡め食べる、蕎麦の後ろめたい程の美味しさに、
チーズの溶けた出汁汁が、たまらなくたまらなく、美味し~い…
すっかり飲み干し、呆然と余韻に浸り…、では!♪
念願の「納豆むうどん」も、続いて注文 。
見せてくれたお碗の中は、納豆に卵黄、白髪葱に鰹節、海苔の乗った、
見慣れた「納豆うどん(そば)」の姿。
それを一気に、力強くかき混ぜ始め…
練りますっ、練りますっ、素早くかき混ぜる事200回(だそう)
凝視し眺め…、「…完成しましたっ」
と、バーンっと見せてくれた、念願の「納豆むうどん」
丁寧によそって頂き…
淡く細かく繊細な納豆ムースに包まれたうどんが到着。
既に納豆の姿はなく、ほわほわメレンゲ状の泡沫。
そっと口にすれば、しこしこっとしたしっかりとした腰に、
喉越しつるるんっと滑らかに落ちる、美味しいうどん。
後には、口に残る優しい泡の風味に、ほおっと…
これ又絶品、素晴らし~いっ。
念願の「納豆むうどん」まで頂けた感動冷めやらぬ心地でいると、
「デザートが三種用意されているんですが…」
と、うれしい最後の甘味の時間。
各々好きなものを選んだ甘味の一つは、
「マンゴーシャーベット」に、
「きなこと黒蜜のババロア」
プリン好きの私は、迷わず選んだ「グレープフルーツのプディング」。
これが、これが、又美味っし~い
瑞々しく弾ける爽やかなグレープフルーツに、
プルルンっとした、好みのしっかりめのプリン。
甘さもぴたりで、甘美な心地に満たされ、締めくくり…
ご馳走様でした~
素敵な素敵な、銀座でのひと時の宵。
食べる事って、誰かと会話できるって、改めて、素晴らしいなぁ…
お誘い下さったM様、ご一緒して下さった蕎麦人さんにHさん、
ありがとうございました~
「銀座 矢部」
中央区銀座8-8-8
03-3573-4888
11:30~14:00 / 17:00~22:30
日曜・祝日営業
禁煙
お店のHP
2012年 5月28日 「ちいずからめ蕎麦」
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ただこちらのご主人は、元々和食の世界に居た方、お蕎麦は「竹やぶ」で修業されたそうです。
今思い返しても、贅沢なひと時でした。
それぞれの良さがあり、どれも大好きです。
ひめはるぜみさんの紹介してくれるお店のブログも、全部大好きです(^^)
蕎麦以外でも…
(奥さまに連れて行ってもらった、焼き肉ランチに彼がひどく反応していました)
割烹料理店のような店。新境地を探す店。
幅が広く、びっくりしています。これからも いろいろ紹介していただきたいです。
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