久しぶりに、例の遠征メンバから、「ますや」さん行こう、の話が持ちかかり…
蕎麦となれば、しかも「ますや」さんとなったら、迷う事なく二つ返事 。
日程合わせた今日、車に乗り込み中央道をまっしぐら。
からりと晴れ渡った、冬に逆戻りしたような済んだ青空の下、
幻想的な八ヶ岳の頂きを眺め、順調に車を走らせ長野に突入。
伊那ICを降り、記憶にもまだ新しい、ポレポレの丘の横の小高い一角に、
旗をパタパタと靡かせほっこりと佇む、ロッジ風のお店に到着~ 。
あれは一昨年の夏の終わり、
あの時訪れた感動が、ふっと走馬灯のように蘇る…
伊那市高遠町 「高遠そば ますや」
雪が降るとの天気予報に心配していた雪はなく(ちょっと残念)、
それでも、車から降り立つと、肌に刺すような空気の冷たさ。
ああ…、ここは長野なんだ、やっぱり寒いっ。
と、扉を開き入れば、入口すぐには薪ストーブが赤々と熾り、
高い天井のゆったりとした店内は、温度だけではない、心地のいい温かさ。
久しぶりにお会いするご主人にご挨拶をして…
窓際すぐのテーブルに腰を下ろし、
すぐに出された温かなお茶を頂けば、途端にほっと和んでしまう。
ぐるり見渡し落ち着いたところで、品書きを回し見吟味。
…まずは、前回は頂けなかった、ここでの蕎麦前を楽しみたい 。
と、中から地元高遠のお酒「やまむろ」純米を選び、お願いし、
充てには、もう一度食べてみたいと思っていた、
ますやさんの「蕎麦ピザ」に、まだ頂いていない「そばがき」を。
程なく出された、デフォで出されたピザは、直径20センチ程ありたっぷり。
鴨の燻製に地の物きのこが、とろりと溶けたチーズに埋まり、
その下は、ざくざくっとした粗挽き蕎麦粉で作られた蕎麦ピザ生地。
取り分け早速頂けば、カリカリざくっとした蕎麦生地がとても香ばしい。
モッツォレラチーズに絡まる、鴨の燻製の深い味わいに、
風味豊かな様々なキノコの、シャキポリっとした歯ごたえの心地よさ。
ああ、これは、やっぱり美味し~い
と、鴨にチーズのピザはお酒にもよく合い、くいっくいっ。
蕎麦ピザっていいなあ、もっと食べた~い、なんて思っていれば、
人数分に小鉢に分けて出してくれる配慮もうれしい、粗挽きそばがき。
早速お酒もお替り、木曽奈良井「杉の森」もお願いし…
もり汁に浸され出される、ふっくらとした蕎麦がきは、
見た目にもすぐ分かる、かなりの粗挽き。
箸を入れれば、ほろんとしてもっちり。
口に含めば、ころころ転げまわる蕎麦の粒がなんとも心地よく、
とろりと溶ける間に、ふっくらとした香ばしさに甘みが広がる。
添えられた、フレッシュな山葵が又美味しく、
ああ、この蕎麦がきも美味しいなあ…
じっくりと味わいながら、伊那の地酒「斬九郎」を追加して…、
いよいよ、お目当てのお蕎麦をば 。
品書きにあるお蕎麦は、殻ごと挽き、芯に近いところだけで打つ「玄」に、
丸抜きの蕎麦を手挽きし、十割で打たれた「抜き」の二種。
さらに、ここ高遠の蕎麦となれば、
焼き味噌と辛味大根で食べる「高遠そば」がここのメイン。
「ますや」さん初めての二人は、「高遠そば」を、
私は食べていない、長野でのきのこを堪能したいな、と「ねぎきのこざる」、
同じく二度目のSさんは、「鴨きのこざる」を選んで、
お蕎麦はもちろん合い盛りで、それぞれ注文~。
まずは、「ねぎきのこ汁」の添えられた、一枚目「玄」。
地元高遠産の蕎麦を玄ごと挽き、その中心部分だけで打たれた蕎麦は、
うっすらグレーがかった透明感のある繊細な細切り。
その中に、蕎麦の欠片がきらきらと煌めき、まるでガラス細工のよう。
顔を寄せれば、爽やかな穀物の香りがふわっと広がる。
手繰り口にすれば、品のあるたおやかな腰が心地よく、
あっと思った瞬間に、ふっと喉元を落ちて行く。
清楚でエレガント、ソフィスティケートされた綺麗なお蕎麦。
と、熱々たっぷり入った「ねぎきのこ汁」に浸してみれば…
様々なきのこの出汁が染みた汁は、上品で風味よく、
にわか暖まった蕎麦は、甘みが濃厚に引き出される。
しゃきしゃききのこの食感も楽しく、これは美味しい 。
ここで「鴨きのこ汁」とちょっと交換~。
同じきのこでも、鴨が入った汁は、鴨の脂がじわりと浮かび、
きのこの出汁に鴨の濃厚な旨みが溶けあい、がっつりとした旨さ。
玄にちょっと勝ちすぎちゃうけど、これはまこと美味しい鴨きのこ汁 。
と、あっという間に食べ終えれば、すかさず出される、二枚目「抜き」。
八ヶ岳山麓産の蕎麦の丸抜き、それを手挽きし打たれた、
すぐに見てとれる超粗挽き、やや太めに断たれた蕎麦のその断面から、
今にも蕎麦の粒が飛び出て来そうな野趣さいっぱい。
手繰り上げ、日に透け見える、蕎麦粒の姿に見とれながら、
口にすればもちもち感が強く、頼もしい歯ごたえ。
噛みしめていくうちに、じわじわと香ばしさに甘みが濃厚に広がり…
ん~っ、なんて素朴で力強い味わいなんだろう~。
と、熱々きのこ汁に浸せば、むちっとした蕎麦がほろりとし、
解けるように蕎麦の芳しい香味に風味が濃厚に広がる。
ん~、これは美味し~い
…と、それぞれ汁を交換し手繰っていると…
「これは、まだ試作品なんですが…」
と出して下さった、玄ごと手挽きし打たれた粗挽き、(仮名)「田舎そば」。
ずっしり太めに断たれた、グレー濃く、透明感もあり、
その切り口は、荒々しく蕎麦粒が浮き出るごつごつとした断面。
手繰り上げれば、途端に広がる馥郁とした香ばしい穀物の香りに、
噛みしめれば、もちもちとした粘りのある力強い歯ごたえ。
噛みしめれば、じわっと広がる蕎麦のもつえぐみぎりぎりの香ばしさがあり…
こっ、これ美味し~い
とそのままの蕎麦を楽しんでいると…
すっと各々出して下さったのが、試作品との「カレーつけ汁」。
所謂蕎麦屋のカレーとは異なる、朱色が濃く洋風の様相。
と、これに「抜き」を浸してみると…
おおっっ、これは美味しい 。
さっぱり薄めでありながら、カレー独特のスパイシーさはしっかり。
中にとろりと溶けかかったトマトが、どこかエスニック風な風味があり、
辛いけど甘い、上品だけどワイルド。
「抜き」に合わせれば、蕎麦の甘みがぐわんっと広がり…
続いて「田舎」を浸してみれば、これが又美味し~いっ 。
力強い「田舎」はスパイシーなカレーと譲らずもがっつり手を組む。
さらりとして、辛味に甘み、それに酸味が寄りそうこの汁、
これは、夏にすごくよさそう…
と、高遠汁に浸してみたり…と、それぞれの汁で楽しんだ三種の蕎麦。
とろりとした蕎麦湯で、さらに汁の飲み比べなど味わっていれば、
最後にうれしい、蕎麦湯で作られた蕎麦湯プリン。
さくっとしてとろり、程良い甘みに、ほのかに蕎麦の香ばしい風味があり、
これが、又とても美味しく…
デッキの向こうには、雄大な山並み眺めながら、
ゆったりとした時間を、ご主人囲んでのんびりと寛いだ楽しいひと時。
ご馳走様でした~
もう時期、桜爛漫ピンク一色に埋まり、人々で賑わうんだろうなあ、
と、その景色を思い浮かべながら、満足な心地で車に乗り込み…
帰り道、高遠の高台から見た、八ヶ岳に諏訪の街並み。
美味しいお蕎麦に、美しく雄大な景色に包まれた長野。
又、来たいな…。
運転して下さったT様、K様、S様ありがとうございました~
「高遠そば ますや」
長野県伊那市高遠町東高遠1071
0265-94-5123
11:00~16:00
火曜定休(1,2月は、火曜水曜)
Pたっぷり
お店のHP
2010年 9月 5日 合い盛りで「高遠そば」
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山猫亭のお話し、随分おききしていました。
なぜか、都内、地方限らず、お蕎麦屋さんって自転車ノリが多いですよね~。
と言う事で、ちょこっとツラレテしまった私です(^^;。
について、これは当店のご主人の趣味なのかな?(向こうにスペアの
リムが立てかけてあるし)とかは思ったのですけどね(汗;;
aiz様のブログの中に、下諏訪の「山猫亭」探訪のお話が出てきますが、
あそこのご主人は確かケルビムのランドナーか何かをお使いだったかと
ご本人から伺った記憶がありました。
(その時に当方が車山から乗って行った一台がロイヤルノートンという
セミオーダーのランドナーパスハンでした。 余談)
都会においてすら自転車趣味の方が多い蕎麦屋業界、況や地方において
をや!
・・・かな~??なぁんて(笑)
たぬきさんのぷらり一人旅も大好きです。
蕎麦ピザ、とおっても美味しいんです(^^)
この辺りの秘密のお店も後ほど教えて下さいね♪。
蕎麦キューピーなんてあるの、知らなかったです!楽しみにしてます(^o^)丿
aizさんに並びますね~(峠好き)
でも、あの景色は、本当に素晴らしい。
車を停めて、皆見入ってしまいました…(u_u*)~。
蕎麦ピザ、ぜひやってみて下さい!
がぜん、蕎麦で作ると美味しいです。生地の役割って大きいものなんですね♪
そうそう、最後のサービスショット、お気に召したでしょうか・・・・(・・;)?
ここのガラス細工のようなお蕎麦、食べてみたいです☆
yukaさんの好きな物を知り尽くしておられるかのような品々・・・
他簿に出たくなりました♪
今回は私の琴線に触れる程のものには出会えませんでしたが、楽しいお店を見つける事は出来ました。どこにどんなお店が潜んでいるのやら・・・
ヘ~~ッと思ったのは軽井沢の「志な乃」で何と埼玉三芳で作られた蕎麦の実を使っていること。どこでどんな繋がりがあるのか・・
「よし吉」の馬刺し(以外も馬鹿にならないレベルです)「日賀志」ののんびり時間「刻」の相変わらずのお弟子ぶり・・etc 色々な観点でもの見ると面白い!?
余談: 酔っぱらった頭で何を勘違いしたかyukaさんの蕎麦キティシリーズを「蕎麦キューピー」と思い込んで某所で販売していた「蕎麦キューピー」を買いこみました(こうご期待 σ(^_^;) )
今ではまあいかないでしょうけど(汗;)、その昔は年に数回上って
ましたね、自転車で高遠詣で。(はい、はい、モノズキです 笑
峠の茶屋にも、一応それなりの蕎麦屋があり、屡休みましたっけ。
蕎麦粉ピザといい、お蕎麦といい、何れも魅力的ですね。特にピザは
自宅で試みてみたいと思いました。イタリアあたりでも北の方では
ソバを栽培して食するらしいですが、マカロニ的なパスタになるのかな?
ご紹介とてもうれしい、
是非是非、順番に訪れてみます(^^)。
安曇野周辺に点在する、道の駅はほぼ制覇したのですが…(^^;。
長野情報、又よろしくお願いします♪
>飲まずに…
って、飲まないhorikoshimさんなんて、信じられなーいっっ。
穂高「富士尾山荘」
松川村「こうや」
豊科「うちぼり」
などおすすめです。
最近…なんか…忙しくて…あまり蕎麦屋していないのですよね…。
でもこれは、蕎麦屋と昼酒が結びついている自分に原因があるのです。
これから、飲まずにかつおいしく蕎麦前と蕎麦を食べる、という技を身につけないといけないですね!
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