既に2時を回った店内は、長閑でゆったりとした空気が流れ、
そっと置かれたお正月のお飾りが、凄烈な心地を感じさせる。



まずは、厨房のご主人、女将さんにご挨拶をして…、
ほっと落ち着いたところで、ここでの初蕎麦前をば。



ちょっとお気に入り、「ん」の熱燗をお願いし、



すぐに出された今日のお通しは、「生平湯葉刺し」に「山葵漬け」。



程良い歯ごたえの弾力ある湯葉は、旨みが凝縮してとても美味しい。



さらに、しゃきっと茹でられた春菊にふわりと盛られた
「しらす干し和え」が出され、しばしこれでまったり 。



お代りは、限定発売のお酒と聞いて、
とっさにお願いした「獺祭」純米大吟醸48　寒造早槽　生々。



磨き50％と38％をブレンドして仕上げたお酒だそうで、
そのフレッシュ感に、フルーティーな華やかな香り。
しっかりと米の柔らかな旨みが口に広がる、新年に相応しい美味しいお酒。



これに充ても何か、と久しぶりに頂いた「葱天」は、
かりかりさくっと軽やかに揚がり、葱の甘みが濃厚～。
あれこれ話すひと時も楽しく、気付いたらあっという間のひと時。

さて「まるやま」さん、初蕎麦は何にしよ～う。



やっぱり「せいろ」かな、と思ってふと見上げれば、
季節のお蕎麦に、久しく食べていなかった「山かけ」の文字。
見ていたら、次第に心惹かれ、今日は「山かけ」を頂こう



と程なく、目の前に出された、玉子の黄身が添えられた「山かけそば」。



とろりとした真っ白のとろろ芋に、
回りにふわっと添え盛られた岩海苔から、ふわりと広がる磯の香り。



まずは、汁を一口。
しっかりと出汁の旨みが染みた、「かけ」よりも飲みごたえのある味わい。
何度か掬う内に、じわじわと岩のりが溶けだし、これがたまらず…



中の蕎麦を手繰り上げれば、温そばであってもしかとした歯ごたえを残し、
繊細な細切りの蕎麦の中に、うっすらと見える丸抜きの蕎麦の粒々。

噛みしめれば、温められた蕎麦は、途端に香ばしさを口に放ち、
ほろりと解け、あっという間に喉元を落ちる。
ああ、「まるやま」さんは暖かいお蕎麦も、美味し～い

と、しばしとろろを崩さず蕎麦を手繰り…



ようやくとろろを崩し絡めれば、まったりとろりと蕎麦に絡まり、
とろろんっとしたこのほのかな滑りがたまらない。
しかも、とろろが溶け込んだ汁は、濃さがぴたりと決まり、これが美味しい 。



最後に、そっと添えられた黄身も落とし入れ…



おもむろに崩し絡めれば…、分かっていても、これはたまらな～い

とろろの粘りまったり感に、黄身のまろやかなコクが加わり、
得も言われぬ程の贅沢気分。
玉子まで溶け込んだ汁は、もう言わずもがな。

これは、美味し～い

とろろ玉子汁となったかけ汁をも、慈しむようにすっかり頂き、
大満足な、至福な心地に満たされて…



最後に出された、ほっこり気分になる「蕎麦ぼうろ」。
ゆっくりとこれをかじりながら余韻にどっぷり。

ご馳走様でした～

やっぱり「まるやま」さんはいいなぁ、としみじみと…。
今年も、沢山のお蕎麦、手繰らさせて頂きます

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