今年2月に訪れた「みの利」さんが、その後程なく、
体を壊されてお店を閉められたと聞き、残念に思っていたのだが…。
東京の「石月」や神楽坂「山せみ」で打たれていた波田野さんが引き継ぎ、
新たにお店をオープンさせたと聞き、これは是非伺ってみたい 。
開店してそろそろ2か月、落ち着いて来た頃かしら…
と朝方の仕事を済ませ、小田急線「唐木田駅」までまっしぐら。
唐木田駅の改札を出たら、ほんのすぐ目の前。
通りに面して、一面のガラス壁に、目に鮮やかに留まる紅非色の暖簾。
蕎千花…、何て素敵な屋号かしら
唐木田 「手打そば 蕎千花」
そろそろ2時になろうとする、とっぷりとした昼下がり。
扉を開き入ると…、ああ、これは気持ちがいいなぁ 。
内装は以前と変わらなくても、感じる空気は変わってる。
ほんのりと落とされた柔らかい照明が、ほっとする安らぎを感じさせ、
優しい温もりある雰囲気に包まれている。
すぐに気付いてくれた、波田野さんのにっこりとした笑顔に迎えられ、
こちらにどうぞ、と通されたゆったりとしたテーブル席。
そっと出して下さった蕎麦茶を口にして、
置かれた品書きを開き…、まずは、仕事明け、蕎麦前を 。
…と早速見るお酒の品書きは、珍しいお酒のラインナップ。
ゆっくりと一つ一つ読ませて頂き…
100ccからグラスでも頂けるようだけど、今日は猪口で飲みたい気分。
中から、この時期やはり飲んでおきたい「冷やおろし」。
福岡のお酒、独楽蔵「二年目の秋」冷やおろし、をお願いすると…
漬かり具合が絶妙な、「山葵菜の醤油漬け」が充てに出される。
これが又美味し~い
口にしながら、充てには何を頼もうかな、と眺めていると、
「今だったら、夜の品書きもお作りしますよ」
と見せて頂いた、夜の一品料理のお品書き。
ん~っ、うれしいなあ 。
お言葉に甘えて、帆立好きとしては、真っ先に目が留まった
「帆立のサンガ味噌焼き」を早速注文~。
後ろに流れる、ほっと寛ぐBGMに耳を傾け、すっかり寛ぎ初めていると…
程なく、「熱いので気を付けて下さい」と言葉を添えて出された品は、
小さめの鉄板に熱々じゅうじゅうの、焼き味噌仕立て。
柔らかい味わいの西京味噌に、葱や胡桃、胡麻に鰹など混ぜられ、
その下に、ふっくらと焼かれた帆立貝柱がごろごろ。
絡め頂く帆立貝の美味しさといったら…
こっ、これはお酒いくらでも飲めてしまいそ~う 。
味噌だけでも美味しく、所謂「帆立貝柱入り焼き味噌」だ。
と、これでしばしお酒をゆるゆると楽しんで…
そろそろお蕎麦を頂こう、と改めて手にするお品書き。
蕎麦は、「せいろ」に「玄挽き」、季節の「変わり蕎麦」の三種があり、
さらに、これらを選んでの「二種もり」もあるよう。
となったら二種食べたい。
「北海道元気クローラ組合」のキタワセの新蕎麦の「せいろ」もいいなぁ、
でも、群馬渋川の殻ごと挽きこんだ、「玄挽き」も魅力的。
さらに「変わりそば」をお聞きすると、これは珍しい、
まだ、食べた事のない、「クコの実切り」だそうで、これは興味シンシン。
「玄挽き」と「変わりそば」の「二種もり」でお願いする事に。
程なく、まず出されたのは、艶やかなグレーの「玄びき」。
切りムラなく端正に断たれた蕎麦には、細かな蕎麦の欠片が散り、
野趣溢れながらも、凛とした品が感じられる。
手繰り上げれば、むわんっと広がる、福福とした穀物の香り。
口に含めば、もちもちっとした心地のいい腰があり、
噛みしめると、じわ~っと広がるほのかな甘みを含んだ香ばしさ。
ほおお、これは美味しい…
そのままでも十分味わい深く、何度か手繰り味わった後に、
そっと汁を口にすれば、この汁が又旨い。
どの出汁の風味も突出する事なく、まろやかに染み、しっかりとした旨さ。
蕎麦に浸し頂くと、ぐんっと蕎麦の香ばしさが増し、これはいいなぁ 。
…と、ご主人が出てきて下さり、
「これが、クコ切りなんです、茹でる前の色、きれいですよね」
と見せて下さった「クコ切り」は、パステル調のかわいいベビーピンク色。
あれが、茹であがったらどんなになるのかしら…と、ワクワクしてると、
茹で盛られた「クコ切り」は、二つ山に盛られ、クコの実がちょんちょん。
(あ…、おっぱいだ~(^^))
茹でられさらに色を増した、鮮やかな色が目にも楽しく、
手繰り上げると、甘いクコの実の香りが、ふわ~り広がる。
口に含めば、しゃきっとしてしなやかな腰があり、
噛みしめると、途端に広がる、ドライレーズンに近いクコの実の甘み。
こ、これは、美味しい~
何も漬けづとも、このクコの実の味わいが濃厚で、
昔食べた「栗切り」を思い出す、蕎麦の又違う楽しさがいっぱい。
変わりそばって、楽しいなぁ、と食べ終えほおっとしていると…
「今日、『せいろ』にちょっと粗挽き混ぜて作ったので、少し食べてみませんか?」
とのうれしいお言葉。
お腹いっぱいだったけど、そんな言葉を聞いたら、是非とも食べたい。
「手挽き…ではないんですが、すり鉢でつぶして、粗挽きを作って」
それを24メッシュで篩った粉を混ぜてみたそう。
珈琲ミルならぬ、すり鉢で挽いた蕎麦粉!そういう手もあったんだ…。
と、目の前に置かれた「せいろそば」。
角がぴしっと立った、凛々しい細切りの蕎麦の中に、
本当だ 、ぽつぽつと混ぜ込まれた丸抜きの蕎麦の粒。
手繰り上げれば、途端に広がる濃厚な香ばしい蕎麦の香り。
思わずうっとりし、口に含めば、しっかりとした腰がたのもしく、
きしきしと、粒を噛みしめる感触が、しっかりと伝わってくる。
その途端に、じわ~と口いっぱいに広がる蕎麦の持つ濃厚な甘み。
飲み込んだ後には、さらにぐわっと香ばしさが喉から鼻に戻り…
こ、この「せいろ」、これは美味しい…
お腹いっぱいだったのも忘れ、この蕎麦にうっとり。
「美味しい、美味しい」とつぶやく私を見ながら、
「今日は、1割だけなんですが、2割くらい混ぜてみようかなと思ってて」
の言葉に、その蕎麦が、ますます楽しみになってしまう。
すっと出してくれた蕎麦湯は、程良く白濁した熱々クリーミィー。
もり汁に注ぎ入れ頂くと、再び汁の旨さを実感し、これもたっぷりと頂いて…。
すっかり満足した、午後のひと時。
ご馳走様でした~
駅からもすぐというのもうれしく、心地のいいこの空間。
夜にしっとりと訪れるのもいいだろうなぁ、などと思いながら、
優しい笑顔で見送られ、駅までと。
うとうとと、電車に揺られるのも又心地よく、
今度は、あの蕎麦で、「きのこつけ汁」も食べてみたいな…
「手打そば 蕎千花」
多摩市唐木田1-53-15
042-313-7652
11:30~14:30 / 17:30~21:30
木曜定休(祝日営業)
禁煙
P有り
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でも、蕎麦もばっちりですよん(^^)。
どれもこれも飲んでみたいお酒ばかりでした。
波田野さんは、キャリアが長いので、開店したてとは言え、腕はばっちりです。
心地のいい空間はもちろん、駅から近いのもうれしいところ。
是非(^^)。
酒談議も楽しそうですよ~
こちらは夜の料理がかなりイイ感じやわ♪
伺うときは夜にしてみるよ。
雰囲気も良さそうなので行ってみようと思います。
お腹さえ、もっと容量が多ければ、もっともっとせいろ食べたかったくらいに美味しかった。
ぜひ!
ひめはるぜみさんの感想もお聞きしたいです。
それも、気になったりして…(^^)
そうそう、うり坊さんは特に興味持ちますよね。
私も、これまでに、珈琲ミルで挽くのは知っていましたが、すり鉢で蕎麦を引くとは・・と、改めて蕎麦の世界の広さを感じました。
なんとなく・・・
蕎麦のふっくらとした旨さと甘みが出ていたように思います。
ムカゴ!
それ、私も食べてみたいです。
ぜひ(^^)。
みの利さんは、私も残念でしたが、又うれしいお店ができました。
これから、ますます楽しみなお店です。
今度のお店もいいですよ♪
ぜひぜひぜひ(^^)。
夜のお料理、私はもっと食べてみたいくらい…。
とても気持ちのいいご主人なので、しのぶさんも気に行ってもらえるかと…。
そうなんですよー、そうなんですよん、
あの波田野さんのお店です。
柔らかくて優しいムードいっぱいで、
とてもとても心地のいい空間でした。
蕎麦が、又美味しかった!
ちょっと遠いかもしれませんが、ぜひ、すげちゃんも。
ものすごく喜んでくれると思います(u_u*)~
いきたいです。
きっと いきます
明日のお昼は、お蕎麦にしますかね!
以前の記事でなんでも変わり蕎麦に出来ると書いてありましたが
ムカゴ切りなんかも今の季節に食べてみたいですね。
当鉢で当たった粗引きの蕎麦←料理人としては違いがすごーく気になります。
仕上がり、味、かもし出す香り等、石臼との違いを食べ比べてみたいですね。
もう一度行こうと思っていたのに残念です。
ご主人も暖かそうな感じの方でしたね。
でも今度のお店も行きます。
YUKAさんが近くに来ていたなんて。
うれしいです。
ここは歩いて行けるような場所やからね。
今度、のぞいてみますわ。
「蕎千花」のタイトルです~ぐ食らい付きました!!!
こ・・・このお店は・・・あの6月に出会った波田野さんのお店ではないですかっ!!!
お店も温かく波田野さんらしいお蕎麦屋さんになっていますね。
ああ・・・私も食べたくなりました。そして、波田野さんのゆったりとした雰囲気に包まれたい。
またコメントします★
すげちゃんより!!!
→ yuka (04/08)
→ yuka (04/08)
→ sherbetsST (04/02)
→ gun (03/27)
→ yuka (03/19)