久しぶりの東名高速、いくつかのSAに寄り道し、
途中、少々の渋滞に合うも、何とか1時前にようやく岐阜に到着~。
岐阜市街からちょっと離れた、静かな住宅街の中に、
ふと現れる、どこか京都の趣き感じる、数寄屋家屋。
ぐるりを囲む、屋根付きの壁に、その奥へと続く石畳に…、
静かに漂う、厳かなるオーラ。
何とか車を停め、前に流れる小さな小川の澄んだ清らかな流れを眺め…
ずっと来てみたい、食べてみたいと思っていたお店を前にし、
ぷるると、小さな震えに似た感動をを感じながら、
門をくぐれば、格子扉に、すっとかかった真っ白な暖簾。
岐阜 「胡蝶庵 仙波」
そっと開き入ると、日の光を遮ったうっすらとした暗闇の小さな間。
扉越しに見る外の明るさが、異空間に入った心地にさせられて…
その奥の扉を開くと、ぼおっと灯った灯りの下に、手水鉢が。
トイレさえも、何とも風流…
澄んだ空気がすぅっと落ちてくるような、
どこか緊張感のある、ゆったりとした三和土の空間。
その横の椅子にも、入口にも待っている人がざっと5組。
やはり…、予想はしていたけど、もっと早く来るべきだった
順番を記す用紙もなければ、花番さんに告げる事も必要のない、
客同士が分かり切って、静かに己の順番を待つ。
ぼんやり眺める、目の前の座敷の客室にも、ゆるりとした時が流れ、
しばし…、一時間ほど後に、ようやく我々の順番になり、
通されたのは、お座敷の横の、小さな個室。
丁寧にお茶が出され、飴色に光るテーブルを前に、
年季感じるくすんだ壁が醸す、柔らかく体を包む時の堆積。
古民家の温もりが、緊張感の中で優しく流れる中…
おずおずと、置かれた品書きを手にし、ゆっくりと目を通すも、
頼みたいものは、もう決まってる 。
「せいろ」と「手挽き」を一枚ずつ。
それと…、待つ間に頂こうか、と「はりはり漬け」に決め注文。
本当だったら、こんな空間でゆっくりと蕎麦前を楽しみたいところだが…、
などと、ひっくり返しては眺め眺め、
この空間にいれば、待つ事さえも、寛容になってくるもの 。
ようやく、目の前に出された「はりはり漬け」に、
同時に置かれた、「せいろ」そば。
う、美しい…
少々待ちくたびれていたのだが、
しかも、「はりはり」と同時に出された事さえも、
目の前に置かれた蕎麦を見たら、
そんな事さえ、一瞬の内に忘れてしまう。
繊細な細切りの中は、まるで蕎麦粒だけでできているかと思う程、
幾重にも重なり合う、透明な蕎麦の粒がびっしりとひしめく。
手繰り上げれば、ふわ~っと円やかな穀物の香りが漂い、
口に含めば、その粒のぷるぷるとした感触が口中をうごめく。
しっとりとして、はらり…と、零れるようなはかなさがあり、
飲み込む瞬間に、途端に弾けるように広がる、蕎麦の味わい。
ほのかに豆系の甘さを残し、そのままでもう十分な濃厚な風味。
お、おい、美味しい~っ
これだけの粗さがありながら、はかなく繊細。
丸抜きの蕎麦の粒の感触に、香ばしさ、ほのかな甘みに陶然とする一瞬。
汁は、そっと口にした瞬間に広がる芳醇な鰹の風味。
ここまで濃厚な鰹の出汁はあっただろうか…と思う、まろやかな味わい。
この蕎麦には、やや個性が強いとも言えそうな…
と、大事に食べていたのにあっという間。
その食べ終える頃合い見て、二枚目「手挽き」が出される。
こっ、これは又、すごい…。
「せいろ」とは異なる、殻ごと挽きこんだ蕎麦は、漆黒を帯び艶やかに光る。
やや太めに断たれ、その中には、様々な色の蕎麦の欠片が、
飛び出さんばかりに埋め込まれた、迫力さえ感じる面持ち。
手繰り口に含めば、もちっとしたしっかりとした歯ごたえに、
途端にざらりと掠めて行く、粗挽きの蕎麦の欠片。
手繰りながらも、むわむわと香りを放ち、
噛みしめれば、ぐぅ~っと広がる香ばしさに、ほのかに残る蕎麦のえぐみ。
「せいろ」が可憐な乙女のような蕎麦であれば、
これは、正に武勇長けた武人のような…
二種の蕎麦に、うっとり夢見ていたかのようなひと時を感じ、
これも頃合いぴたりと出された、蕎麦湯を注げば、
とろ~と、しっかりと白濁した、まろやかなポタージュ蕎麦湯。
クリーミィーで滑らかなこの蕎麦湯が又美味しくて、
鰹の風味漂う汁に注ぎ入れ、余韻に浸りながらたっぷりと頂いて…
ご馳走様でした~
積年の望みだった、胡蝶庵の蕎麦。
席を立ちながらも、あの蕎麦の味が蘇ってくるのを感じつつ、
すっかり静まり返った、三和土に再び降り立つ。
今度来る時には、是非、ここで蕎麦前を楽しんでみたい、
しっかりとそう思いながら、余韻を大切に噛みしめて…。
日本中には、まだまだ出会っていない蕎麦が山ほど。
ああ、そのすべてに出会いたい 。
「胡蝶庵 仙波」
岐阜県岐阜市日光町3-26
058-232-6776
11:00~16:00
月曜定休
禁煙、10歳以下のお子様入店不可
P10台ほど
お店を出た後、再び高速に乗り、さらに西進~。
今夜の宿は、飛騨平湯温泉
さすが、ここ岐阜も蕎麦処、夕飯には、とろろの冷かけ蕎麦付いて来た♪。
旅館のお蕎麦にしては、まあまあ ?
…と、夜になったら、ふっとりんが思い出されて、、
未だに、もみもみする子供だし、どうしているかなぁ…
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アーカイブ、早速追加します!
それと…、ぜひ、ぜひです。お近くであるの、とても羨ましいですもの…
今回も、定休日の関係で行けなかったお店もあって…。
(岐阜ってどうして月よう火曜がお休み多いのかしら~)。
ぜひぜひ、こちらにも足を運んでみて下さい(^^)。
サンさんのワンちゃんは、大丈夫でした?
そして…
サンさんまでうれしいお言葉。
ありがとうございます…。
同じ想いを感じてもらえるだなんて、私もとても幸せです。
羨ましい…。
私も、次回はぜひ、車でなく、あの空間でゆるりと蕎麦前を楽しみたいと、しかと、しかと心に誓いましたです。
(自転車で飲んじゃ、ダメダメよ~笑)
思わず、画面をクンクンしちゃいたくなっちゃいますよね(^^)。
キーボード、濡らさないで下さぁい(笑)
近くに泊まるか、電車で行きたいお店ですね^^;
台風のときは大丈夫だったかな。
皆様の仰るとおり、yukaさんにはずっと元気にたくさんのおそばを食べていただきたいです(*^_^*)本当に一緒に食べている気がして長生きできそうです♪(^_-)-☆(勝手な思いいれm(__)m)
久々に超粗轢粉の蕎麦を見た気がします。
この半透明な姿と、
立ちのぼる香り、
広がる滋味の様子を想像すると、
よ・・・涎がぁ~~~
ここは、岐阜駅からもそう遠くないので、もしあちら方面に行かれたら、ぜひぜひ…。
3歳でも?じゃあ、家の子もずっと、もみもみするのかしら(u_u*)~。
蕎麦、はい♪。
感動的でした…。
しかも、3回通って、ようやく10分の一。
まだまだ、ですね、私。
やっと入口に辿り着いたくらいでしょうか。
でも、ここは是非又伺いたい、きちんと(平日に)空間をも楽しみたいと、しかと思っております。
三種盛りは、もっちろんとっても気になったのですが…。
何よりも、既に2時すぎ、このあと平湯まで行く事を考えると、ゆっくりもできなくなってしまって…(涙)
今度は是非もっ!
汁、確かにかえし弱めですね。
とにかく鰹の出汁が濃かったです。
私も、そう言ってもらえると、oriさんと一緒に食べているような気がしてきます(u_u*)~。
これは、ちょっと・・・訪問したいです。
ここに泊まってみたいとさえ思います☆
美しくも真の通った武人の蕎麦。
凛とした「オンリー1の自信」が漂っています。
私も 10回は訪問する心算で・・長生きします。
現在 3回です。
魅力の 10分の一ぐらい感じられたかも
全メニュー制覇と
三日連続訪問を狙っています。
お蕎麦美味しかったんですね!行ってみたいなあ。
三種肴頼まれなかつたのですね?
この空間で飮むのがまたいいのに(^m^)
あとツユですが、かえしが物足りなかつた記憶があります。
確かに今の時期の蕎麦、香りが立つてませんからあんましかえしが強くても何なんですが(^^;;
蕎麦の写真にごっくり。
行きたいな~。
yukaさんには、全国のお蕎麦を
食べてもらいたい。
一緒に食べている感じがします。
→ yuka (03/19)
→ yuka (03/19)
→ sherbetsST (03/18)
→ 森のたぬき (03/01)
→ yuka (02/24)