前夜の帰り道のあまりの寒さに鼻水が止まらず、コナモンの方々との合流を諦め早めにホテルで休んでいたので・・・、
それが効してか、朝気持ちよく目も覚め、冬の気持ちのいい空気の中、早めにホテルを出発。
その蕎麦の写真から、是非とも行ってみたいと思っていたお店へと
地下鉄からJRに乗り換え降り立った福島駅。
地図を頼りに、駅下に伸びる駅前の商店街を抜け、入り込んだ聖天通商店街。
これがなんとも懐かしい風情たっぷりの下町情緒。お豆腐やさんにお魚やさん、レトロなお店が並ぶ通りは、ゆっくりと歩いているだけでも楽しい。
と、ふと目の前の角に現れた長い紺地の暖簾。
こ、ここが・・・
あまりにもさりげなく、町にとっぷりと溶け込んだ古いギャラリーのように飄々と佇む。
大阪 福島 「そば切 からに」
暖簾を潜り中へ入ると、これも又何とも不思議な雰囲気。
どこかヨーロッパの下町にあるお店に来たような、ちょっと異国の空気。
雑多でごちゃごちゃっとしながら流れる空気は、それでいて下町の気さくさに満ちている。
真ん中には8人程の丸いテーブル席が置かれ、その周りにはゴミ箱をひっくり返して作った椅子やら、手作りらしい木の椅子など、統一感のない見ていて楽しい椅子。
さらに奥には厨房に面した小さなカウンターがあり、常連のお客さんがご主人と楽しそうに話をしている。
まだ早いから誰もいないだろう・・・、などと思ったのに、既に結構お客さんが来ているのにびっくりしながら、空いていた真ん中のテーブルのひとつに腰を下ろす。
お茶を出してもらうのを待ちながら、ふと前を見るとまるで落書きしたような壁に・・・
上を見上げてこれもびっくり 。
な、なんだろう・・・、天井に描かれたこの不思議な絵。
大きな丸いキャンパスに鮮やかな色彩のユニークなタッチで描かれた様々な人物のモダンアート・・・。
見ているうちに、ぐんぐん引き込まれそうな気持ちになっていると、まだお若い奥さんからお茶と品書きが出される。
なんて、酒好きの気持ちを汲んだメニュー
100円から並ぶ、ちょこちょこっとした品書きはどれも美味しそうで、見ているだけでもうれしくなってしまう。
中に見慣れない「うにどうふ」という品書きがあったので、お聞きすると、もろみ豆腐とのこと。さらに、「子持ち」の文字に反応して気になった「子持ちこんにゃく」をお聞きすると、ししゃもの卵が混ざったこんにゃくだそう。
これは食べてみたい!と、熱燗にこの「子持ちこんにゃく」をお願いすることに。
すぐに、一升瓶とお猪口の入った籠が出され、
「お燗はこのお酒でいいですか?」
と出された広島の「亀齢萬年」の一升瓶を見て納得し、中から好みの猪口を選ぶ。
程なくして出された徳利に
「お嫌いでなかったらどうぞ」
と、これもお酒にうれしい酒盗が添えて出される。
酒盗でお酒を飲み始めていると、すぐに出された蒟蒻を見て、息を飲む。
な、何っっ、これは・・・
透明な美しい刺身蒟蒻の中にびっしりと埋め込まれた小さな粒々
一口噛み締めると、蒟蒻の弾力さの中に、ぷちっぷちとした心地のいい感触。
お、美味っしぃ~。
ほんのりついた味付けが又よく、これはもう、魚卵好きにはたまらない一品 !
あんまり美味しくてくいくいとお酒もすすんでしまい、ぐい呑みいっぱいもお変わりをして。
「すっきりとしたものを・・・」
とお願いして選んで下さったのは、これも初めて見る「陸奥八仙」のおりがらみ。
すっきりとして柔らかな口当たりのお酒も美味しく、しばし堪能してしまう。
いつしか、気兼ねなくゆっくりとした空気のこの空間にすっかり馴染んでしまってる。
心からのんびりとした心地になりながら、しばし憩ってしまうひと時 。
そろそろお蕎麦を頂こう。
お蕎麦は、細切り、粗挽き、おろし、絡み大根、鴨汁のみ。
おろしはぶっかけとのことなので、ここはやっぱりお目当ての粗挽き蕎麦を。
まずは薬味にもり汁が置かれ、程なく出された蕎麦を見て、一瞬目を見張る。
な、なんという粗挽き !
細切りよりは気持ち太めに切られた蕎麦には、豪華に散りばめられた蕎麦の欠片。
この野趣さ溢れた姿に、それだけで、もううっとり 。
しかも、置かれた瞬間からふわ~っと立ち込める豊かな香り。
顔を寄せるまでもなく、駄々茶豆に似た香ばしさに甘みを含んだ香りが漂う。
この香りに、食べる前からすでに猫にマタタビ状態~
うっとりとした気持ちで手繰口に含むと、心地のいいざらりとした舌ざわり 。
この感触がたまらなく、噛み締めるともちもちとした歯ごたえ。
同時にじわ~っと広がってくる蕎麦の濃厚な味わいに、うれしくて涙が出てしまいそう。
香り同様、いやそれ以上の駄々茶豆に似た香ばしい甘みのある穀物の味わいが、口いっぱいに溢れてくる。
この味の濃さにすっかり汁も何も忘れ、しばしそのまま食べてしまう。
が、ちょっと気になる卓上に置かれた塩。
蓋を開けてみると、粗くきれいな岩塩で、ちょっと蕎麦に付けるとこれも旨い。
汁は、ほんのり鰹の風味漂う、まろやかさのあるすっきりとした辛口のもの。
これも美味しく、わずかに残った蕎麦を食べ終えてしまうのが惜しいように、浸し頂く。
食べ終え、恍惚状態の私の前に置かれた蕎麦湯は、これも陶器の器で掻き混ぜ棒が添えてある。
注ぎ頂くと、粗挽きの粉で作られた優しく白濁した蕎麦湯。
ほんのり蕎麦の風味の蕎麦湯をもり汁に注ぎいれ、余韻に浸ってしまう。
「美味しかったです…!」
と、勘定をと席を立ちお聞きすると、蕎麦は四国のものとのこと。
あまりの味の濃さに、思わず
「熟成させてませんよね?」
とお聞きすると、楽しそうに笑いながら
「今朝打ったものですよ」
とおっしゃるのをお聞きし、「又、来ます」と告げお店を後に・・・。
ご馳走様でした~
まだ興奮冷めやらぬような心地のまま、駅まで。
この居心地いい空間に、気の利いたお料理にお酒、そしてあの蕎麦。
なんて素敵なお店なんだろう。
こういうお店に出会うんだもの・・・、やっぱり、蕎麦はやめられないな~・・・ 。
*おしながき
細切り、粗挽き、おろし 800円、辛味大根おろし 1,000円、鴨汁 1,300円(すべて細切、粗挽き選択)、大盛 400円
大豆の梅おかか煮、豚みそ 100円、山うにとうふ 200円、子持ちこんにゃく 300円、にぎり天 400円、だし巻き 500円、鴨椀、丸干しいか 600円、さいばし 700円、からすみ 1,200円
ビール、焼酎 500円、地酒 600円(ぐい呑み 300円)
「そば切り からに 」
大阪府大阪市福島区鷺洲2-11-26
06-4796-2286
11:00~14:00 / 17:00~20:30
木曜定休
禁煙
あんまり美味しくて気に入ってしまったので、黒門市場でゲット
ひろぴさん、ありがとうございました~
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そういえば、こちらではお借りしてなかったですっっ。
行けばよかった・・・。
結構、トイレってお店の密かな、いや、大きく趣味が見えておもしろいんですよね。
んんん・・・
行けばよかったです。。
てる坊、もちろん、
もっともっと行きたいとこ、あったの。
でも、体ひとつだから・・・(涙)
遊び心が一杯で何かホノボノしました。
次回はもっと「てる坊」とか「和」とかマイナーで良い店も狙ってみると面白いかも っね!
福島は、あと三軒行きたいお店があったのですが、休日との兼ね合いで行けず・・・
次回、回りたいです。
楽しい街ですよね(^^)
「売れても占い商店街」
そうそう!私もこの旗を見て、ひとりでくすくす笑ってしまいました♪
(どうして占いのお店が多いのかしら~??)
福島は占いの店が多かったでしょ! 「売れても占い商店街」がキャッチフレーズです。
聞いていれば・・・・・・・・
そうそう、すぐに!とは行けないかもしれませんが、大阪もまた是非行きたいです。
あやめ池の?
え?マタタビな蕎麦?
あーん。。。
帰ってきちゃったのにぃぃ。。(滝涙)
今度は、大阪奈良ツアーかしら。。
やはり、こちらには(あたり前ですが)行かれていたんですね♪
すっかり気に入ってしまいました。
聞いていれば、細打ちも頂いてみたかったです。
松ちゃん・・
うふふ、そうかも(^^)
でも、ちゃーんと、たこやきに、うどんに、お好み焼きに、じゃがいもスープ(?)も食べてきました♪
やっぱり本場のたこやきにお好み焼きは、まったく違うシロモノと思った次第です。
熊本は、大昔に黒川温泉に行きました♪
(でも、ラーメンは食べてない・・・汗)
お元気そうで・・・(^^)。(ブログから)
ちょっと前にも行かれていたみたいですね♪
私も、ビリケンさんと記念撮影してきました。
そうそう、このお蕎麦屋さん、いいですよ。
ぜひ、行かれて見てください。
>粗挽きフェチ
ンン~~ンッ
おしかった
あやめ池の「彦衛門」は 粗挽きフェチに マタタビだったのに レベル高いですよ
ついでに子持ちコンニャクもありますよ
勿体なかったな!!
「からに」は見た目にやられる「粗挽き」より見た目の地味な「細切り」のほうがレベルが高いと思いますよ。
まあ、日々変わるから何とも言えませんが。
細切りの粉を挽く臼が良いんだろうな・・
そうそう行けないでしょうが、これは絶対に食べておいた方が・・・細切り・・
ここは粗挽きよりは細切りのほうがお勧めなのですが、粗挽きフェチだから仕様がないか。
この前まで比婆在来だったのですが、四国になっていました?また行ってみよう。おっしゃるように酒飲みには最高の店です。奥さんもかわいいしね。蕎麦を打つのはダウンタウンの松ちゃんです。
どこでもご当地ものがあって、私なんかは、それに流されるのですが、あくまで蕎麦を追及するyukaさんを尊敬します。(まじめに)
大阪ではお好み、四国ではうどん、熊本ではラーメン。
そういえば、久しぶりに本場の熊本ラーメン食べたいな。
最近はどこでも食べれますけど、本場の味は、材料が同じでも違うんですよね。
子供の頃から、熊本で数十年ラーメン食いたおした男より。
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