何度もその看板を見、何度も前を通り過ぎながらも、まだ一度も入ったことが(練馬では)なかったお店が、5月で閉めてしまうと聞き、是非一度訪れておきたいと。
昨日とは打って変わってぽかぽかとした陽気の中、散歩がてらに練馬の駅から歩いていく。とは言え、時折吹きすさぶ強い風に煽られ煽られ・・・、なんとか豊玉までたどり着く。
車の通りの激しい、環七沿い。
灯篭のような、どでかい立派な看板がすぐに目につく。
たっぷりととられた駐車場を横切り、お店へと。
改めてお店の前に立つのは初めて。これも立派な日本家屋の佇まいに、威厳のようなものも感じてしまう。
練馬 「石臼挽 手打そば ねりま明月庵田中屋 本店」
さて、と、入り口に立つと、扉のすぐ横には貼り紙が。どうやら、5月11日を最後にお店を閉めてしまうとのこと。
そう聞くと、途端に感慨深く思えてきてしまう。
平日の午後3時になろうとする昼下がり。
噂に聞いていた休日の混雑ぶりはなく、お座敷、テーブル席と、のんびりと寛ぐ人々がちらほらとした、ゆったりとした空気に満ちている 。
「お好きな場所にどうぞ」とすぐに出てきて下さった花番さんに通され、テーブル席の奥に腰を下ろす。
置かれている品書きを手にすると、お蕎麦、お料理、それにお酒と豊富な品揃え。
どれにしようか迷ってしまいながら、周りを見渡すと、平日だからか、それともこの場所柄、車で訪れる方が多いせいだろうか、銀座のお店とは違って、あまり飲んでいる人はみられない。大抵の方々が、お昼の天丼とのセットを頂いているよう。
私も、どうしようかと思ったが、せっかくなので、最後にゆっくりとこのお店を堪能しようと、熱燗をお願いすることに。それと、天ぷらが美味しいと聞いていたので、季節の「春野菜の天せいろ」を天先でお願いする。
しばしして、まずは、お決まりの薬味、生山葵一本に、たっぷりの大根おろし、そして浅葱が置かれ・・・
続いて、上品な真っ白の徳利で熱燗が出される。
充てには、まったりとした蕎麦味噌が添えられ、お酒を注ぎいれながら、改めて見るととても素敵な御猪口にしばし見つめてしまう。
そして、程なく、天つゆと塩が添えられた「春野菜の天ぷら」が目の前に出される。
たらの芽、ふきのとう、こごみ、のびる、筍、うど、なす、スナップエンドウ、それにかぼちゃにサツマイモと、豪華な盛り付け。カラリと薄い衣で揚げられた天ぷらは、成る程、確かにすべてが美味しい 。
こんなにも種類豊富な山菜を頂けるのもうれしく、春の苦味を感じたり、
筍の風味、歯ごたえを楽しみながら、ゆっくりと頂く至極のひととき 。
ん~っ、筍おいしぃぃ~
お酒をもゆっくりと堪能し、そろそろお声をかけようか・・・、などと思っていた調度のタイミングでふっと花番さんが顔を出してくださる。こりゃ、素晴らしいっ
そして、程なく、「御前せいろ」を花番さんが運んで下さったので、
「こちら、5月で・・・?」とお聞きすると、
「はい、11日を最後に。今度は是非、銀座の方にお立ち寄り下さい」と、
優しい微笑みで話してくださるのを見ていたら、なんだかしみじみと置かれたせいろをしばし見つめる。
銀座のお店と同じ、正方形の蒸篭に盛られた蕎麦は、エッジの立った瑞々しく輝く丹精な蕎麦。
銀座店よりは、やや量も多めかな・・・?
と、おずおずと手繰り顔を寄せると、ふわりと蕎麦の香ばしい香りが豊かに漂う。さすが石臼挽の蕎麦、とうっとりしつつ、口に含む。
きりっと締められた蕎麦は心地よく、噛み締めるともちもち感のあるしっかりとした腰。噛み締めると、柔らかい穀物の風味をまず感じ、後に残る甘みがとっても濃い。うんうん、さすがに美味しい 。
折り目正しくきちんと打たれた蕎麦を、しっかりと堪能してしまう。
汁は鰹の風味高い、きりっとした辛口の汁。これが蕎麦の甘みをさらに感じさせるかのようで、これもいい。大根おろし、擦りたての山葵をも一緒に頂き、あっという間に頂いてしまう蕎麦。
折を見て出された蕎麦湯はさらっと白濁した熱々のもの。
ここでたっぷりと大根おろし、葱を加えて頂くと、かなり満足な気分になってくる。何度もこの蕎麦湯を頂きながら、改めて回りを見渡すと、このお店が閉じてしまうのを、惜しいように思えて仕方がない。
ゆったりとした空間。
そして、しっかりとした花番さんたち。
一度、何人かで訪れて、こtらのコースか何かでゆっくりと味わってみたかったなぁ、などとも・・・。
多分、これが最後になってしまうのだろうか、それでも訪れられられ、よかった・・・と、しみじみと思いお店を後に。。
ご馳走さまでした・・・ 。
久しぶりに、銀座のお店も訪ねてみようかな。。
*お品書き
御膳せいろ 780円、おかわり 580円、ごまだれ 940円、納豆、とろろ 1,050円、辛味大根 1,150円、鴨せいろ 1,360円、かきあげ天せいろ、穴子天せいろ 1,680円、春野菜天せいろ 1,780円、車えび天せいろ 3.150円など
そばいなり、胡麻豆腐 520円、せろりとじゃこの金平、長芋酒盗かけ 730円、空豆、ホタルイカ 840円ほかずら~り
真澄、東長、出羽桜吟醸、菊姫山廃、八海山、吉乃川吟醸、玉の光純吟、久保田萬壽など 840円~
「石臼挽 手打そば 明月庵 ねりま田中屋本店」
練馬区豊玉中2-12-6
03-3992-1233
11:00~21:00
年中無休 禁煙
P20台 お店のHP
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私も、まさか閉店になるとは・・・と。
いつでも行ける(年中無休だし)なんて思って、今まで行っていなかったのですが。
あの素晴らしい建物も、どうなってしまうのだろう、などと、それも惜しんでしまいます。。
そうだったんですかっ。。
(私、まだ実家にいました~・・・)
私もなんだか、しみじみとしてしまって。
もっと早くに、訪れていたかったと思います・・・。
最近は行く機会は少なかったけど、それども年に1~2回くらいは行くことがあったので、火を消して欲しくなかったですね。練馬の住人としてまことに残念です。
この辺り、魅惑がいっぱいあったこともあって、いつか・・
なんて思っていて。。
ぜひ、ぜひ、
来月11日までなので、
ここも又、老舗ならではの良さのあるお店です。
私も銀座のお店にしか行ったことはなく、いつかは本店にも・・・と、思っていた矢先。
ぜひ!
最後に訪れてください。
銀座とはまた違った、風情あるお店です。
ここも中休みなしです♪
そう思ってみると、本当に感慨深くて・・。
ここもいいお店だったんだなぁ、なんて、思ってしまいました。。。
平日でも、間に合うなぁ、21:00までの営業ならば。
行ってみよう!
経営が変わったのですから仕方が無いのでしょうけれど・・・
豊玉の本店が無くなるとは驚きました。
使い込まれた湯桶も寂しそうにしていますね・・・・・
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