今日も又、そんなお店に。
近くまで所用で来たこともあり、何故かふと立ち寄ってみようと降り立った「学芸大学」。
賑やかな商店街は、以前仲のよかった学生時代の友人が住んでいて、時々訪れた時の面影が散らつき、ちくん・・と胸に上がるような懐かしい気持ちが沸いてくる。
この町の道は格子状に伸びていて歩きやすい。
賑やかな商店街を抜け、頭になんとなく入っていた道を、珍しく地図も見ずに感覚で歩くと、静かな住宅街に差し掛かる。
この辺りだと思うんだけどなぁ・・・、と思い立ち止まったその調度の交差点に、落ち着いた店構えが目の前に佇ずむ。
学芸大学 「手打そば 夢呆」
住宅街の延長のように、周りに溶け込むようにさりげなく佇む、落ち着いた風情のお店。
丁度、初老の紳士が扉を開け帰ろうとする、その入れ違いのように中へ・・・。
平日の昼下がり、2時になろうとする時分。
先客は一組だけの店内は、すっと空気が落ちたようなしっとりと落ち着いた空気。
品格をもちょっと感じる落ち着いた和風の作り。入ってすぐには囲炉裏を囲んだ大テーブルが置かれ、奥には寸分も違えないかのように、きちっと並べられたテーブル席がいくつかと、奥には風情ある小上がりの席。
上品さと庶民的な感じの両方を携えたような空気で、しっぽり~とした雰囲気が広がっているような・・。ピシッとした白作務衣を纏ったお兄さんに通され、窓際のゆったりと席に腰を落ち着けると、すっと寛いでしまえる。
さて・・と、広げる品書きは達筆に書かれた筆文字。
「玉子焼き」、「にしん甘煮」、「とりわさ」・・・と悩んだが、このところ天ぷらを食べてないなぁ、と思い「天せいろ」を天先でお願いすることに。
それと、変な天気でちょっと小寒かったので「熱燗」も♪。
程なくして、木の盆に「天つゆ」と薬味と一緒に白磁の徳利で出される。
「蕎麦味噌」かな?と思ったアテは、「アサリの佃煮」。これがまったりとして非常に美味しい。
ほぉっ と、ちびちび遣り出した頃、天ぷらが置かれる。
飾りつけも美しく盛り付けられた天ぷらは、大ぶりの海老にししとう、ナス、それと谷中生姜。
衣薄めに軽やかに揚げられた天ぷらで、サクサクっとし美味しい。添えられた塩も、パウダー状のものでこれも旨い。しかも、長さのある海老は真ん中で食べやすいようにと、二つにカットされる心遣いがうれしいなぁ。
満足な天ぷらにお酒も美味しく、すっかりのんびりとした心地になったところで、そろそろお蕎麦をお願いする。
声をかけると、程なく目の前に出された蕎麦は、年季の入った塗りのせいろに盛られて。
グレーの細切りの蕎麦は切り幅にムラのない丹精なもの。その切り口はシャープなエッジが立ったもので潔さを感じさせる。
手繰り寄せ口元に寄せると、途端に香ばしいようなしみじみとした穀物の香りが濃く豊かに立ち込める。この香りだけでもうっとりしてしまいそう~
口に含むと、しっとりとした腰が心地よい、しなやかな蕎麦。
冷水できちんと締めるその加減も絶妙で、冷やりとした感触も気持ちよく、するするとのど元を通り過ぎてゆく。手繰っていく毎に、じわじわと蕎麦の風味が豊かに広がり、申し分のない仕上がり。
これは・・・、美味しい。
つゆの甘辛の割合、その濃さも申し分なく蕎麦とのバランスもいい。
ただ・・、先の天ぷらの汁と兼用だったのがちょっと残念で、できれば別だったらもっとうれしいのだけれど・・・。
だが、きっちりと食べ終わる寸前で出される、ナチュラルだが熱々の蕎麦湯を注ぎ頂くと、改めてこの汁の旨さを実感できる。すべてにおいて、職人の気質をひしひしと感じられるよう。
すっかり満足な天ぷらに蕎麦で、ほっとしていると、ぽつりぽつりとお客さんが出たり入ったり。丁度の具合に、帰るお客さんがいるかと思うと、新たに入ってくる流れが、ゆったりとした店の空気をおだやかに保っているようで心地いい。
隣の二人連れの年配の女性たちも、いつしかビールからお酒へと変え、和やかに憩っている様子。中休みのない、ゆったりとしたお店のうれしさ。。
さて、そろそろ私は・・と、席を立つ。
最後まで礼儀正しい接客も気持ちよく、非常に満足度の高いひととき。今度は、ぜひ、壁に掛かっていた品書きの「田舎そば」を頂いてみよう。
ご馳走さまでした~・・・
*お品書き
せいろ 630円、田舎 840円、夢呆、ぶっかけ、納豆、つけとろ 各945円、
ちらし 1,155円、掻揚げせいろ 1.365円、鴨せいろ、天せいろ 1,575円
かけ 630円、きざみ、磯そば 840円、鳥南、山かけ、おかめ、釜あげ 945円、
にしん 1,155円、浮島 1,365円、天丼、掻揚げ丼 1,365円、海老天丼 1,765円等
山葵おひたし 525円、おしんこ 630円、板わさ、玉子焼き、とりわさ 735円、
にしん甘煮 840円、きのこ天、掻揚げ 1,050円、鳥やき 1,260円など
ビール 578円、酒 420円、久保田(萬寿)、獺祭、東北泉、枯山水 840円~
「手打そば 夢呆」
目黒区鷹番3-17-6
03-3710-3110
11:30~20:30
(土)11:30~15:00 / 17:00~20:00
日曜定休
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夢呆さんはいいですよね。
派手さはなくても、きちんとしっかりとした、お料理に蕎麦、そして老舗の趣きをも感じられる店内。
又、伺いたいものです。
定休日の変更のお知らせ、とてもうれしいです!
ありがとうございました。
今後も、どうぞよろしくお願い致します。
きょうのお知らせは、天丼でもつくばねうつぎでもなくて、夢呆の定休日変更。来月の十月からは、今まで木曜だった定休日を、「日曜」に替えるそうです。夢呆のお好きな方、どうかご注意ください。
でも、随分地理に詳しくなったのでは・・。
私もさーんざん、迷うので、結構ばったり!なんてあったりしちゃうかもしれないですよ~♪
と思っていたんですよ。で、実際は三軒だったようですが、
その間を縫うように?歩いていた様子。
ある意味器用だ・・・。(--#
こんなことでは、「どこかのお店で偶然yukaさんと遭遇」
なんてのは夢のまた夢ですね。(^^;
その、落胆の気持ち、痛いほど察します!
(私も何度も何度も・・・)
ぜひぜひ、次回、訪れて見てください。
いいお店ですよ、ここ。。。
でも、学大は選択に迷ってしまう、悩みの街です・・(^^;;;
寄りたいところもあり、学芸大学で途中下車。
昼を食べたいなと思い、しばし散歩。
「そういえば、yukaさんの記事のお店が!」
と思い出し探すが見付からず。
結構側まで行っていたようです。
でも、まるでこのお店を避けるかのように歩いていた
ことを地図を見ながら知りました。
がっくり。orz
吉法師も、ずっと行ってみたいと思っているので、近々行きたいと思ってます♪
こちらの情報、教えてくださいねー。
でも、平日はがら~としていて、非常に居心地がよかったですよー。
K木瞳さんもよくいらっしゃるとか・・・。
それはそうと、「吟」さん、
そうなの、こちらとにかく量がたっぷり~。
お酒もたっぷり~だし、さすが多摩地区と思わせられます。
お蕎麦の余裕をとっておかないと、食べられなくなっちゃうくらい。
でも、お昼に単品蕎麦だけで、大満足できちゃうのは、うれしいです。
「よしむら」さんでは、やっぱり開田よりよしむらが好き♪です(^^)
多分、仕事がらみだったかな?
(いや、どうもそうじゃないみたい)
でも、5年前くらい?
出入りの非常に多いお店で、そのときも
確か雨だったですが、これは「繁盛!!」
というのだろうな、と思いました。
学芸大学(という駅の名前のみが残る
のみで、大学は移転してるんではない
でしょうか?都立、という駅名もありまし
たようで)の北口?ですか、真っ直ぐ行って
当店は左側。右に行ったら夜に相応しい
って「お店」があるのでしたでしょうか?
さて、昨日はお薦めの小平「吟」。雨だったので
当方一人でのたくってた感じ。ご主人若い方でしたね。
豆腐の卵とじ、結構な量だった。(汗;;
子柱すごく沢山入っていて感激モノ
本日は吉祥寺の「よしむら」へ。
天せいろの天麩羅が凄い。(種類と出来栄え)
手取り川と東洋美人をいただきました。
コシと透明感ある蕎麦に外殻の星が散りばめられた
「吉祥寺」で。
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