逸る心を抑え、まずは入口にピン刺しされた、
「今日の産地」をしっかりチェック。



昼時外した、午後１時すぎ。
丁度昼の喧騒も過ぎた時分、心地良く冷房の利いた店内で、
女将さんのあったかな笑顔に迎えられ…



まずは、蕎麦前、お願いした「東北泉」は、
揃いの、八角の酒器に猪口。
ご主人の作られた陶器の器は、手にするのも楽しい 。



お酒を頼まなくても、お茶にも添えられる、
女将さんの煮物は、いつもとっても美味しく、
今日は、しっとりと味の染みた、「大根と揚げの煮物」



さらに…、漬け物好きな私に出してくれた、
自家製「糠漬け」に、



「生姜の醤油漬け」に、「甘酢漬け」、



「ゴーヤの酢醤油漬け」が、びっくりする程美味しいっ



さっと揚げて下さった、
「茗荷の蕎麦味噌挟み揚げ」　を頂きながら、
手の空いたご主人と、積った話に蕎麦談義。

時の経つのも忘れつつ、あれこれと話込み…、



ではっ、そろそろ「凄い」、鹿児島の蕎麦を頂こう～ 、



とは言え、やっぱり三種食べたい。
「粗挽き三兄弟」との、「三種盛り」。



色合いも様子も、三色三様、異なる姿の蕎麦は、
どれもが、心そそる美しさ 。



まずは、「白妙」との、手挽きそば。
今日の産地は、北海道、幻の「牡丹」。



8～12メッシュ、粒だけで繋がっているかの如くの超粗挽き、
ふわりと広がる甘やかな香りに、
もちもちとして噛みしめた途端、濃厚な甘みが口に広がる。

まるで、熟成したかのような、ふっくらとした豆系の味わい。
牡丹がこれ程までに甘いなんて…



真ん中は、「蕎薫」との「せいろそば」
赤城深山の夏そば、キタワセ。



「いっこう」では一番スタンダードな蕎麦でさえ、この粗さ。

ふわりと広がる香りは清々しく、
「牡丹」の後なので、余計にさっぱりとフレッシュに感じられ、
ほろりと解ける喉越しといい、この蕎麦もいいなあ 。



そして…、ご主人の今日のイチオシ、
艶やかに黒輝る「黒妙」との十割、鹿児島、鹿屋在来 。



手繰り上げた途端、むせる程、濃厚な薫りが押し寄せる。
むちっとして、するりと喉を落ちながら、
野生味溢れた、濃密な味が広がり、鼻孔にジンジン。

うっ、こ、これはすごいっ
手繰る毎に、その味わいに酔いしれクラクラ…、

「ね、これ、すごいでしょ」
と改めて、ご主人と蕎麦談義 。



まだまだ余韻の残る中、
すっと出された蕎麦湯には、かきまし棒がささり、



かき交ぜ注いだ蕎麦湯は、とろ～り濃厚、風味豊か、
雑味ないもり汁の美味しさを、たっぷりと楽しんで…



ほおっと一心地付きながら、改めて見る器は、
すべて主人が、造られたもの。
ひとつひとつに心の籠もった器に心和み…

女将さんのにこにことした笑顔に見守られ、
今日も、心から充実したひと時に。

ご馳走様でした～

来る度に、「いっこう」さんの蕎麦に、Fall in love。
早くも、又食べたくなっちゃうなあ…

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