開店早々に伺ったきり、要予約でなかなか伺えず、
行きたいなあ、と想い募っていたところ…、
うれしいお誘いがあり、ようやく今夜、再び訪れる事が 。
佃大橋大通りから一本折れ入った、殺風景な暗闇の中、
さらに抜け道のような小さな路地を入れば…
ほのかな灯りがガラス窓から洩れ浮かぶ、
蕎麦屋とはまず分からない、不思議な密めき。
まさに、浮世からの「はなれ」…
新富町 「はなれ」
窓を伝って木板のスロープを伝い扉を開けば、
心地のいい照明が灯る、オープンキッチンの白木のカウンター。
すべて手挽き、その場で打つ蕎麦。
注文を受け、お客さんの顔を見て、それに合わせて粉を挽く。
その石臼が並び置かれ…
一つづ、造られた石が違うのは、挽き分けているのかな。
しげしげと眺め、ご無沙汰していた挨拶などして…
まずはビールを頂き、そっと乾杯。
充てに出されたのは、蕎麦の実がカリカリ香ばしい蕎麦味噌。
これを充てに喉を潤わせつつ…
ようやく4人揃ったところで、
「おまかせ」の料理が出され始める。
まずは、「前菜盛り合わせ」
品よく盛られたお料理は…
しゃきしゃき歯ごたえが心地のいい、
「切り干大根とクレソンの胡麻酢和え」
桜海老の風味がふんだんに染みた、しっとりと炊かれた
「桜海老の卯の花」
蒟蒻に、芋がらのしゃくっとした歯ごたえが懐かしい
「蒟蒻と芋がらの田舎煮」
しっかりと巻かれた蕎麦が、寿司酢の後ろから香ばしく広がる
「蕎麦寿司」
この一皿を前に、早速お酒 。
日本酒のリストも、以前来た時とはがらりと変えられ…
東北応援!「伯楽星」純米吟醸に、「扶桑鶴」純米吟醸。
どちらも味わいある片口に注がれ、
お酒と共にじっくりと前菜を頂いていると…
いつの間にか石臼を回し始めていた、矢守さん 。
…そして程なく、
ほかほかとした、正に挽き立て「そばがき」が
福井県大野の蕎麦、
ほんのり緑がかった蕎麦がきは、箸を入れればふっくらもっちり。
粗い粒が口の中を転げながらとろりと溶け、
ふっくらとした香ばしさに甘みが広がる。
ん~…、何もなくても濃厚な味わい、これは美味しい 。
続いて出された一皿は、「炊き合わせ」
しっかり中まで味が染みた里芋は、とろ~り滑らか抜群の旨さに、
ほろろっと崩れる柔らか~く炊かれた鰊がたまらなく美味しい 。
添えられた菜の花に、
柚子を巻いた大根の付け合わせまで、すべて申し分なく、
このお料理に夢中になっている間に…
飄々と捏ね延し切りの、坦々とした身のこなし。
またたく間の、流れるような一連の身のこなしは、見ていて楽しく、
打ちたて蕎麦の一皿は、「サラダ蕎麦」
油とは感じない程、さらさらとした「米油」の上品なコク、
まぶされた炒り蕎麦の実が香ばしく、
和えられた水菜に千切りアスパラのシャキっとした歯ごたえに、
蕎麦が絶妙に絡まり、見事な調和。
ん~っ、これは美味しい…
しかも、添えられたフルーツトマトが激甘~。
余韻に浸り、お酒もお替り、
「〆張鶴」純米吟醸に、三重の「天遊淋」特別純米…
お料理最後の一皿は、「漬け物の盛り合わせ」
さっぱりとした赤蕪に、自然薯のかえし漬け、山葵菜甘酢。
これらで、ほっとひと心地ついていると…
ここで温蕎麦、「浅利と独活の汁そば」が置かれる。
まるで蛤かと思う程の、立派な身のぷりぷりした浅利に、
口にしたこの汁が、果てしなく美味し~い 。
すっきりとして優しい浅利出汁に、
独活独特の風味がさ~っと広がり…ん~たまらない。
中の蕎麦は、汁の中でもしゃきっとした腰で、
汁を纏いながら、するりと胃におさまる心地の良さ。
、
皆揃って汁まですっかり飲み干してし…、
続けて置かれた笊には、グレーがかった粗挽きの蕎麦。
茨城県堺町の常陸秋そば、
外殻は外して挽いたそうだが挽きぐるみ風、蕎麦の欠片が混じり、
その角は、鋭利にすっと立ち麗しく輝き美しい…。
手繰り上げれば、むせかえる程に広がる、深く濃い蕎麦の香り。
口にすれば、心地のいい弾力ある腰があり、
噛みしめれば、な、なんて深く濃い味わい…
蕎麦が本来持つ味の全開
深く濃く密度の濃い、香ばしさと甘さが押し寄せる。
お、美味しい…
汁に浸す事さえ忘れ、これも気付いたら笊が空。。
このお蕎麦、もっと食べたい…
と思っている矢先に、すっと出された最後の蕎麦は、
なっ、なんて鮮やかな緑…
福井県大野の蕎麦、微粉で打たれた十割そば。
手挽きだからと、粗さに頼らず打つ、その信条。
まるで絹の如く滑らかなカーブを描く蕎麦からは、
フレッシュで香ばしい、これも濃厚な香りが立ち込める。
ぱきっと瞬間断ちきれる、不思議な食感に、
喉元落ちながら、蕎麦の風味を残し、するすると落ちて行く。
最後に頂くのにふさわしい、淑やかでエレガントな蕎麦を堪能し…
程良く白濁した蕎麦湯で、4種の蕎麦の余韻に浸る。
最後に、さっぱりとした甘さの、これもお蕎麦 、
「蕎麦の実羊羹」を頂いて、充実感に満たされて…
ご馳走様でした~
緊張しそうな店構えも、
矢守さんの気さくな人柄が、緊張感を和らげてくれ、ほっと寛げる。
ふらりと訪れるのとは違う、贅沢な蕎麦三昧、
いろんな楽しみ方が蕎麦にはあるなあ…。
ご一緒下さった、K様、M様、H様、ありがとうございました~
自家製粉・前面生粉打ち
「蕎麦 流石 はなれ」
中央区湊3-13-15
03-6228-3870
18:00~
日・祝日定休
禁煙
2009年 2月23日 「昼のおまかせコース」
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私たちも、この日は4人。
1人は難しいかもしれないですが、
他にお客さんの予約が入っていた場合なんて、一人でも入れちゃう事もあるみたいですよ~。
それはなかなか。。。大変ですね...
同じく、揃えるということについて。
手挽きで、ってのに取り掛かるのにかなり大変ですね。
一つには、『玄蕎麦用』として要るような。
また、一つには丸抜き用として要るような・・・
で、結局趣味なんで・・・って??(弩笑
ぜひぜひ!
でも、ご主人、お酒が好きなとても気さくな方なので、そんな事ないんですよ~(^^)
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