今やすっかり、うれしくも寂しい、
予約なしではなかなか伺えなくなってしまった「土家」さん。
気付いたら、ほぼ1年伺っていなく、
又、あの、しっとりとした古民家で寛ぎ、
土家さんのお蕎麦を手繰りたい…
生憎、冷たい雨がさらさらと降る悪天候。
こんな日こそ!と、電話を入れ、席を確保し向かった東村山 。
予報では最高19度と言っていたのに、とても寒い。
しとしとふる雨に身を凍えながら、歩いて行けば…
雨にそぶれ、しっとりと黒壁が霞み滲んだ、
何とも言えない幻想的な風景が目の前に広がる。
東村山 「土家」
何時の間にか青々と伸ばした「と草」が風流、
はらりと下ろされた暖簾をくぐれば、
古民家の木枠硝子窓の扉に、ふっと懐かしい心地にさせられる。
ぱらぱらと雨音聞きつつ、引き戸を開き入れば、
温かく迎えて下さる、やさしく笑顔の土屋さん。
しっぽりと照明の落とされたこの空間は、やっぱりたまらない…。
つるし電灯に透かし窓の付いた敷居の扉、
奥のお座敷では、まったりと寛ぐ年配のお客さん。
そっと眺め用意されたカウンターの椅子を引き…
この寒さに手も足も凍え、すぐにお願いした、熱燗一合。
「今日のお酒はこれなんですが…」
と見せてくれた、日本酒のラインナップに、
その他に…、熱燗だったら是非これを、とお勧めされた、
宮城のお酒「真鶴」特別純米酒。
丁寧に燗し、出されたお酒は、味わいある徳利に添えられた猪口。
微妙にゆがんだいびつ加減が、手にすぽっと馴染み、
飲み口は薄く繊細、これで飲む熱燗がたまらない 。
じわっと途端に体を温める心地の良さを感じながら、
早速、「炊き合わせ」をお願いすると…
今日は寒いので、とすぐに出してくれたのは、
蕎麦猪口に注がれた「粕汁」。
優しい味噌仕立ての粕汁は、口にした途端にかっと体に熱が通じ、
奥深い出汁の旨さに、熱燗がよく合う。
しかも、中にはじっとりと脂の乗った鰆の切り身が2切れも!
ふわっとしてジューシー、素晴らしく美味し~い 。
息を吹き返したように、思わず夢中で頂いたところに…
どっしりとした器に彩よく盛られた「炊き合わせ」。
とろりとした蕪は、しっとりと味が染み、
さくっとして爽やかな聖護院大根、
ほのかにレモンの風味が広がるほっこり甘い薩摩芋に、
出汁をたっぷりと吸った青梗菜。
ずしりと素の味が広がる、柔らかく炊かれた牛蒡に、
しゃきしゃきとした、小松菜とえのきの炊き合わせ。
どれもこれもが、うっとりする程美味しく…
さらに、熱々出来たての、「蕎麦米入り飛龍頭」。
注がれたこの出汁が、又唸らせる~
箸を入れれば、さっくりと割れ、中からほろっとこぼれる蕎麦粒。
ぷるるっとした蕎麦の食感に、しっとり豆腐が絡まり…
たまらずお酒を半合お替り、今度は冷やで 。
初めて頂く、岡山の地酒「宙狐」の純米酒。
平盃仕立ての大ぶりの猪口が冷やりと口に心地よく、
キリっとしたお酒が、すっかり暖まった体に心地いい。
ああ、いいなあ…、やっぱりここで頂くお酒は… 。
と、盃傾けながら、カウンターごしに、
ちょこちょこと交わす土屋さんとの会話が楽しく、
「今年で、もう5年になるんですよ…」
の言葉に、はっと、初めて伺った日の事が走馬灯に頭を巡る。
ありありと浮かぶ思い出に、感慨深くお酒を口にし…
久しぶりに頂く、土屋さんの蕎麦
「粗挽き田舎蕎麦」をようやく注文。
頼めば、優しい表情の土屋さんが、ぴしっとした顔つきになり、
すぐに釜に向かい、颯爽とした身のこなし。
思わず挽きつけられ、その後ろ姿を眺めていると…
味わいある陶器の器に、美しく盛られ、目の前に置かれる。
黒々として艶やか、見るからに野趣溢れた、
遠目でも粒が浮きで見える粗挽きの蕎麦の、
黒々と艶びかりした、この美しさ…。
そっと顔を寄せれば、深く濃い、馥郁たる蕎麦の香り。
手繰り上げれば、びっしりと埋まる粒が透け見え、影をなす。
その美しさに思わず見とれ、
口に含めば、はらりとした腰の心地の良さ。
ほのかに粒が口肌をかすめ、噛みしめ飲み込めば、
くっと芳ばしさに甘みが喉奥からこみ上げてくる。
お、美味しい…
ごつごつとした激しさではない、優しくしなやかな蕎麦の温もり。
土屋さんのお人柄が現れたようなこの蕎麦に、
しっかりとして、出汁の旨みがまろやかな広がる汁も美味しく、
もう手繰る毎にうれしくて仕方ない。
美味しい、美味しいなぁ…
さらに、添えられた辛味大根が又素晴らしい 。
きめ細やかな、まるでシルクのように滑らかで、
キーンと絡みが走り、これが蕎麦の甘みをさらに呼ぶ。
あとは夢中、没頭して手繰っていたら、あっという間…。
頃合い見て出された蕎麦湯は、とろとろの濃厚蕎麦湯。
汁に注ぎ、その美味しさを、じっくり余韻と共に味わって…
ご馳走様でした~
心の底から満喫した、雨の日の古民家でのひと時。
予約してでも…、又訪れたいな
「手打蕎麦 土家」
東村山市野口町4-18-1
042-392-9457
11:30~14:00 / 17:30~20:30(売切仕舞い)
水曜定休
禁煙
2011年 8月11日 「お昼の蕎麦懐石」
2010年12月28日 「旬の野菜の炊き合わせ」「粗挽き田舎」
2010年 5月21日 「旬の野菜の炊き合わせ」「粗挽き田舎そば」
2009年11月 2日 お昼の「蕎麦懐石」
2009年 7月21日 「辛味大根おろしそば」
2009年 4月13日 「季節の焚き合わせ」に「ざるそば」、「半かけそば」
2008年11月21日 「昼の蕎麦懐石」の美味堪能
2008年 8月29日 「つけもの」に「粗挽き田舎そば」
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寂しいですよね。
もう3カ月以上行けてないかも。
あまりにも行けないので最近は
屋守とかを買ってきて自分ちで、
庭でとったフキノトウで蕗味噌作っ
て土家ごっこしてます。肝心の蕎麦
はないのに。
写真、そうだったんですね…。
お互いのマナーなのかもしれないです。
写真はその時の店の雰囲気で黙認されたりしてるみたいですね。以前、カウンタで写真を断られてるお客さんいました。
いいですよね、
ますます、お料理もお蕎麦も美味しくなっていますよ~(^^)
又こちらにいらして下さい。
やっぱり、たまらないです(u_u*)~
でも。gunさんならきっと全部分かってもらえると思います。
よりも、というのはさておき、土家さん、本当に完成したんだなあ…と、胸が熱くなる想いでした。。
(5年前の粗削りだった頃をふと思い出して…)
ご案内してし上げたいです。
未だ一度きりの訪問ですが、心の中で、想い描いては、やはりうっとりしています。
予約が必要なのですね。
またいつか、伺いたいと思います。
一回キリなんですが、心にピッタリ寄り添ってくれるお店です。
ストーブの火をじっと見つめながらお酒を楽しみたいな☆
気持ち分かります。
やっぱり無庵よりこっちだと思いませんか?
僕の知ってる中では一番好きです。
でも遠いなぁ(泣)
他の方も、撮られているようですよ(^^)
→ yuka (04/08)
→ yuka (04/08)
→ sherbetsST (04/02)
→ gun (03/27)
→ yuka (03/19)