前に伺った時におっしゃっていた、「手挽き」を始めた志ま平さん。
さらに最近は、要予約で、熟成蕎麦まで始めたそうで…、
熟成蕎麦を出す店は幾つかあるが、その味はお店によって種々様々、
それぞれに違いがあり、興味深い蕎麦の一つ。
是非、志ま平さんの熟成蕎麦、食べてみたい
早速予約し、楽しみにして向かった、神楽坂の夕暮れ時 。
牛込神楽坂 「巽蕎麦 志ま平」
昼間のうっそうとした暑さは引いたものの、
いそいそと歩いてきた喉は、からから。
早速生ビールを頂きぷは~っ。
細かな泡立ち柔らか、樽ごと入れてる生ビールは、又格別 。
ご無沙汰していたご挨拶をし、カウンター越しのご主人と話が弾むも、
てきぱきと、手を休める事ないご主人。
程なく、すっと出された、「前菜」の盛り合わせ。
お雛様に飾りたくなる、可憐な器に盛られた、お酒の充て四種盛り。
ほこほこっとしたお豆はしみじみとして、
ふりかけられた青海苔の風味の良さに、質の良さがきらりと光る。
しかも、このお箸が素晴らしく使いやすい。
豆でもひょいっひょいっと摘める、先端細く繊細な四角箸。
「鳥味噌」との、胡瓜輪切りの上にちょこんっと盛られた味噌は、
鶏肉が混ぜられ、この旨みにぐっとさせられ、
しゃきしゃき歯ごたえが何よりも心地のいい「山くらげ」に、
まろやかでコクある、うっとりする胡麻だれに絡まる、
しゃくっと柔らかな無花果に、途端に心奪われ…、
溜まらず、早速、お酒を 。
中から「獺祭」を選びお願いすれば、
すぐ出された、幾つもの素敵な猪口から選ぶのが、又楽しい。
選びあぐねていると、「これは、どう?」と進めてくれた、
精巧な銀細工の施された、アンティーク調の素敵な猪口。
これに、キンっと冷えた鈴製の酒器から注ぐお酒が、こと美味しく…
ゆるゆるとご主人と交わす会話が楽しいなあ 。
と、じっくりと前菜でお酒を頂き寛いだら、
早速、お目当ての「熟成蕎麦」を頂こう。
今日用意して下さっているお蕎麦は、何と5種類。
これは、真剣に頂かなくては 。
…と、まず出されたのは、今日打った、打ちたての「せいろそば」。
北海道キタワセと福井のブレンド、二八蕎麦。
これは、なんて美しい…。
久しぶりに目の前にしたせいろは、穀物感溢れ、
ざっくり断たれながらも、繊細で清らかな流線。
手繰り上げれば、ふわりと爽やかで香ばしい穀物の香りが広がり、
はらりとしたしなやかな口当たりが、たまらない。
噛みしめれば、香ばしさに甘みのある、豊かな風味。
いくらでもするすると食べてしまえそうなこの心地のよさ、
やっぱり、このお蕎麦、美味し~い 。
と、あっという間に食べてた後で、いよいよ熟成蕎麦二種が出される。
同じ「せいろ」の熟成4日目に、
「せいろ」熟成7日目。
な、7日っっ、これまでに食べた熟成期間の中でも最長 。
それぞれ食べて見るが、ヒネた香りが全くないのはもちろん、
滑りもなく、ただ香ばしさと甘みに深みが加わっているよう。
管理温度や熟成環境が、お店によっての違いを出すのだろうか…。
7日目がこんなに美味しいだなんて、と目がうろこ。
さらに、今度は、手挽き十割の粗挽き「深山」の食べ比べ。
手挽きになってから初めての「深山」は、確かに以前の蕎麦と全く違う。
挑んでくるような野生味溢れ、荒々しく浮き出る蕎麦の欠片。
手繰り上げれば、カカオを思わせる、深い香ばしさがむうっと立ち、
噛みしめる蕎麦は、もちもち感がものすごい。
ぎしっぎしっとした欠片が口肌を撫で、猛々しい穀物の息吹、
その瞬間、口いっぱいに広がる、濃厚な穀物の香味。
こ、これ…、こんな蕎麦を、待っていたのかも…
と、即座に出された、同じ「深山」の熟成5日目。
この変化は、「せいろ」にはない程の、急変化。
むわむわ~っと広がるのは、これぞ熟成蕎麦の醍醐味、
甘みが濃い、だだ茶豆を思わせる濃厚な香り。
ああ…、いい匂い~っと、途端にくらくら 。
この香りだけでも、酔ってしまいそ~う、
と、口に含めば、もちもちさ加減もさらに増し、
味わいも、そのままだだ茶豆に通じる、豆系の甘みが濃厚。
おっ、美味しい、美味しすぎる~
やはり、熟成蕎麦には、殻が大きな要素があるんだなあ…
と、これまで食べて来た熟成蕎麦を重ねて想いつつ、
再びご主人含めての、蕎麦談義 。
「志ま平」特製の、「季節料理の盛り合わせ」も出して頂き、
お酒片手に、語るこのひと時が楽しくて仕方ない。
茸がたっぷり入った、ほんのり甘めの「玉子焼き」は、
まさに私の好きな味、美味しいな~、
さっぱりとした「塩ラッキョウ」に、ぴり辛の「赤蒟蒻」、
エソの旨みがしっかり広がる、さくっとした「板わさ」、
小烏賊の煮漬けは、中に玉子がぎっしり詰まり…
「なまり節」に、「薩摩のレモン煮」、
しっとりと味の染みた「重ね油揚げの炊いたん」などなど、
どれもがお酒を進まれる、よき酒の充て。
早速頂いた熱燗で、まったりと楽しめば、
続いて出された、涼しげな「じゅん菜」。
テゥルンとしたじゅん菜に、長芋千切りにオクラ、
さらにグレープフルーツにプラムの爽やかな柑橘が加わり、
清々しく、口に優しく、呑んでいる口に実に爽やか 。
そして、楽しみにしていた、大好きな「蕎麦スープ」。
今は冷製仕立てで作られた、このスープは、筆舌尽くしがたい、絶品。
海老に、鰻の「蕎麦寿司」も頂き、
最後は、自家製「ちりめんじゃこ」をつまみつまみ、
留まる事なく、話が続く、掛けがいのないひと時 。
すっかり時間も経っていて、最後に改めてお蕎麦をば。
お願いしたのは、感動した、深山の熟成蕎麦をアンコール、
まだ頂いた事のなかった「鴨汁そば」。
再び目の前にした、熟成の「深山」のその香りに再びくら~。
本当に、この香りは、たまらない…
と、そのままの蕎麦を何度か手繰り、
静かに湯気立てる「鴨汁」には、葱に細切れの鴨肉が浮かび、
これに浸して頂く、深山蕎麦が、目を見張るの美味しさ。
たっぷり脂の染みた汁だが、ギトギト感は全くなく、
鴨肉の旨みが、濃厚に染み、とにかく旨いっ 。
熱々の汁に浸った蕎麦は、もちもち感がさらに増し、
蕎麦の甘みにこの汁が混ざり合う、贅沢極まりない味わい。
中に二切れ入った鴨肉も、さっくりと柔らかく、
臭みなく品よく、ジューシーな旨み滴る美味しい鴨肉。
あれだけ食べていたのに、あまりに美味しく、
すっかり夢中で手繰ってしまい…
蕎麦湯を注いで頂き、汁まですっかり飲み干して。
最後に別バラ、「伊吹だんご」
ふわふわもちもちの蕎麦がきに包まれた、小豆餡にうっとり。
とろりと蕩けるような餡子の、甘さ加減もまこと絶妙、
蕎麦湯で点てて頂いた「お抹茶」とゆっくりと頂いて…
ほお…と、幸せ心地で振り返れば、ごろりと横になりたくなるような、
居心地良い、懐かしき古民家の温もりに包まれ…
ご馳走様でした~
素敵な、素敵な、ひと時、だったなあ…
Nさん、ありがとうございました~
「巽蕎麦 志ま平」
新宿区納戸町33
03-5261-8381
12:00~14:00ごろ / 18:00~22:00ごろ
日曜休 (祝日営業)
禁煙
2011年 5月20日 おまかせコース
2011年 4月27日 お昼に、前菜と「二色そば」
2006年 6月21日 おまかせお料理に「二色そば」
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前も美味しかったけど、ますます美味しくなっています。
是非、又いらして下さい。
その時は…(^^)
こちらのそば湯が忘れられません。
ぜひぜひ、りう様にも食べて頂きたいです♪
これは、心の底から幸せでした
ぜひぜひ、Gingerさんにも食べてもらいたいです!
きっと面白いはず…
(私もやって見たくなっちゃうほど)
自然と熟成・・うふふ(^^)
蕎麦って、奥深く広く、限りない魅力があって困っちゃいます。
志ま平さんは一度だけ伺いました。
神楽坂散歩の途中でぶらっと寄ったのですが、
江戸情緒を感じさせてくれる店舗とご主人で、
大いに満足しました。
(自分も一応江戸人ですw)
酒菜もいろいろいただけましたし。
何種類もの食べ比べ。
贅沢の極みでござんすね。
yukaさんの声が聞こえる感じです。
是非食べたいっ!!
更に熟成蕎麦とわっ!
予約したいなぁ…
でも、最近は忙しくて…
一茶庵系でメニューから消えつつある深山蕎麦…
実はうりは結構好きなんですよねぇ…
前の深山蕎麦も残して欲しいなぁ…
これは残業早めに切り上げて、早速味わってみたいです!(^^)!
欲しいんですけどねえ…
多分、電動よりは大変な(量挽けなくて草臥れる、時間をとる)部分も
ありましょうが、『挽く気になる』かもしれませんね。
例えば、使いたい時に使う分だけ挽く、というような使い勝手が考えられ
ます。
玄蕎麦を(できれば何種類か)仕入れ、穀物用の保冷庫で保管し、使う
都度製粉。
・・・痺れます(ムシが騒ぎつつあるか...
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