既に3時を回ったとはいえ、小さな店内はほぼ満席。
何とか入れ違いに空いたテーブルがあり、待つ事なく座れ、
雨の中潜り抜けて来ただけに、ほっと安堵し…



出されたお水を口にし、すぐに手にし見るお品書き。
冷たいお蕎麦に暖かいお蕎麦がずらりと豊富に揃う中…
私が頼みたいのは、「妙興寺そば」に、決まってる 。

彼は「つけとろ」に決めたようで、すぐに花番さんにお願いし…



待ちながら改めてじっくりと見れば、おつまみの品もなかなか豊富。
駅からも程近く、ここでさくっと一献頂くというのもいいなあ…
などと、ゆっくりと見ていると、



程なく出された、妙興寺蕎麦の薬味に汁、それにとろろ汁。



汁にほっこりと浮かんだとろろに、鶉の玉子が乗った、
「つけとろ」のとろろ汁は見るからに美味しそう…



と、続いて彼の蕎麦が置かれ、



漆器の器に盛られた、「妙興寺そば」のお蕎麦が目の前に置かれる。



凛として、ぴんっと張ったかなり細めに断たれた蕎麦の上に、
白髪大根に炒り黒胡麻、海苔がかかった独特のスタイル。

まずは、そのままこの蕎麦を口にすれば、きりっと締った腰があり、
するりっと軽やかに落ちる喉越しに、仄かに広がる甘みがあり、これが旨いっ 。
江戸蕎麦ならではの粋が感じられ、このままでも食べてしまいそう…

と、汁を一口舐めてみれば、これが独特。
寺方蕎麦、禅味ならではの、もろみの入った汁独特の風味。



これに薬味の生姜を加え、白髪大根の絡まる蕎麦を絡め頂くと、
これが、微妙に良く合い、しみじみとして美味しい…。
いわゆるもりそばとは又違う、醤の風味と蕎麦の融合。

うんうん、なんだか食べ勧めているうちに、悟りの心地を感じてくるよう…



と、一方彼のとろろ蕎麦も美味しそう。
ちょっと交換して食べて見れば、ほろりとしたとろろに玉子が絡まり、
きりっとした蕎麦に良く絡み、しゃきっとした腰に喉越しするりと、
通常の汁は円やかで、これが、又とても美味しい 。

彼も、「これは旨い」っとつぶやきながら、
ぺろりと、あっという間に食べてしまう。

熱々蕎麦湯を注ぎ、もっと食べたい心地を感じながら、
さっぱりとした応対の花番さんにお勘定。

ご馳走様でした～

以前はあまり印象に残らなかったお蕎麦だけど、これはいいなあ。
是非、向島の本店にも訪れ、
今度は蕎麦前も頂いて、この蕎麦又頂きたいな…。

関連記事

• 吉原　「蕎麦酒場　もん」　佳き肴酒に、その後の蕎麦旨し (2015/11/17)
• 浅草　「蕎亭　大黒屋」　友蕎子の心を継ぐ貫録の蕎麦 (2015/01/29)
• （閉店）上野御徒町　「池之端　藪」　江戸の粋　老舗の「いそゆきそば」 (2014/04/18)
• 上野　「上野藪そば」　みぞれ酒に焼明太子　老舗の実力「なめこ蕎麦」 (2014/04/14)
• 浅草橋　「御清水庵 宮川」　利き蕎麦会 (2013/05/29)
• 浅草　「並木藪蕎麦」　改装しても常住不滅「並木藪」 (2013/05/13)
• 入谷　「談」　ほっこりとした時間… (2012/06/18)
• 浅草　「長浦」　妙興寺そば (2012/05/04)
• 浅草橋　「あさだ」 (2012/02/28)
• (閉店）　浅草橋　「茶の間美登里」 (2012/02/10)
• 上野　「翁庵」　ねぎせいろ (2011/10/31)
• 浅草橋　「御清水庵 宮川」 (2011/05/26)
• 浅草　「並木藪」　留めて置きたくて… (2011/02/22)
• 浅草　「丹想庵　健次郎」 (2010/05/31)
• 御徒町　「沙羅の花」 　残念ながら閉店 (2009/10/22)

スポンサーサイト