嘗て銀座にあった「古拙」が店を閉められ、
今年初めに、人形町の裏通りに「仁行」として再開店したのもつかの間、
湯島に、新たに「古拙」が出来たと知り、行ってみたいな、と思っていたところ…
今夜はうれしいお誘いがあり、早速お店で待ち合わせ
湯島の駅から、天神さんへと目指すゆるゆると続く坂道を登って行くと…
登り切る手前辺りに、ぼんやり浮かんでいる「そば」の文字。
こ、ここだったのか…。
和風旅館「ホテル江戸屋」の一階に、大きな垂れ幟が天井から吊り下げられ、
興味そそる「よるそば」、の染め抜きの文字。
後ろの扉からほのかに洩れる灯りに、どこか日本料理店の趣きが漂っている。
開店ちょっと前に訪れたので、しばし前で待っていると、
横には、「今宵、よるそばいかがでしょう」と、
CMに出て来そうな、微笑んでしまうキャッチコピー 。
湯島 酒と肴と、水腰そば 手打ち十割「古拙」
時間ぴたりに、「営業中」の札に変わり、早速中へと入っていくと…
目の前には、カタン、コトン…と、鹿威しのある蹲。
凛とした空気広がる店内に、「どちらでもどうぞ」とにこやかに通されて、
途端にほっとし入っていくと、広々とした二つの間。
ゆったりとした4人がけのテーブル席が、ずらりと乱れなく並ぶ中、
奥の中庭を見渡せるテーブル席を選び、腰を下ろす。
品書きは、とても豊富。
「よるそば」のそばに、おつまみ、さらにお膳やコース料理などなど。
一通り眺め、ご主人にお勧めをお聞きしすると、
表にも出ていたコース料理、「よるそばコース」をお勧めされ、
取りあえず…、中の(梅)1,980円に決めて、ようやく注文。
お願いしたところでまずは、坂道を登ってきたので喉も乾いた、
生ビールをもらって、早速乾杯~。
喉も潤いほっとしたところで、改めて品書きを眺めていると、
成程、ちゃんと「ひるそば」というのもあるよう。
そばの単品から、日替わりの蕎麦定食が850円から揃っていて、これはいいなぁ 。
と見ている間に、早速お盆が置かれ…
そっと置かれた、蕎麦屋の定番「蕎麦味噌」。
甘めでこってりとした蕎麦味噌は、私好みの味わい、美味しいな。
続いて出された小鉢料理は、「しんとり菜と公魚の南蛮漬け」。
しゃきしゃきっとした青菜に、しっとりと染みた出汁が美味しい。
公魚の上品な味わいが、風味良く南蛮漬けされこれも旨い。
…と、これに早速お酒に切り替えて。
お勧めされて出されたのは、京都伏見「鶴正酒造」の京の町蔵 新米新酒。
きりっとして味わいのしっかりとしたお酒を頂き、
程なく出された、熱々ジューシーな「出汁巻き玉子」。
さらに…、思わずびっくり、大皿に銘々に出された握り鮨。
ガリ替わりの大根生酢に、零れるように盛られたいくら。
品があり、さっぱりとしつつも程良い脂としっとりとした旨みのある鯛に、
これが美味し~い 、艶々とした赤身鮪は、鮪特有の旨みが濃厚。
しゃくっとした歯ごたえにねっとりとした甘みのある烏賊に、
身がしまりながらもふっくらとした海老の味わいが凝縮した車海老。
シャリの酢の加減も絶妙で、蕎麦屋でこんな美味しいお寿司が食べられるとは…
と、うれしくも、すっかり感心してしまう。
と、お聞きして見れば成程納得、ご主人は、幕張で料理長をしているそうで、
スタッフの方々も皆、日本料理の調理人だそう。
お蕎麦は、都度、「仁行」で石井さんの打たれた蕎麦が届けられ、
それを供しているそうで、
「こっちでは、気軽~に蕎麦に料理を楽しんでもらいたくて…(^^)」
と、温和で親しみやすいご主人がにっこりと答えて下さる。
そして、お鮨にすっかり満足していたにも関わらず、さらに一皿、
「河豚の一夜干し」が続いて置かれる。
ふっくらとして身ばなれのいい河豚の開きは、
生魚の後に、ほっとした心地になり、とても美味しい。
これらで、「千姫」「真澄」をお代りし…
この後は、お蕎麦だそうだけど、「おすすめ」の中から幾つか追加 。
好物「磯つぶ貝旨煮」(580円)は、殻付きで豪快に出され、
「野菜天ぷら」(580円)は、こんもり盛られた盛り沢山。
しかも、これをすべて4っつに切って頂いて…(ありがとうございますっ)
「こんなに小さく切ったのは、初めてです~(^^;」
との、椎茸に、南瓜、薩摩に、ししとう、牛蒡の掻き揚げに、紫人参。
からりっと揚げられ軽やかで、どれもが美味しい天麩羅ばかり。
さらに…、やっぱりこれは食べておきたい「そばがき」も。
これも、銘々に分けて丸めて作って下さる配慮がうれしく、
箸を入れたら、これが意表をつく、ぷるんぷるんっとした弾力。
まるで、固めのババロアのような感触で、口に含むと滑らかとろ~…。
次第に溶けながら、じわじわと広がる香ばしい香りが鼻に抜ける。
これらの充てに、「三千盛」の熱燗で楽しんで…
すっかりお料理を満喫し、いよいよお蕎麦 。
コースにつくお蕎麦は二種、まず出されたのは、基本の「もりそば」。
石井さんの蕎麦独特の、とても細い、極細に断たれた蕎麦は、
うっすらと緑がかり、ふわりと爽やかな香りを放つ。
しなやかで、きめ細やかく、驚く程の滑らかさ。
するりとあっという間に落ちて行く軽妙な喉越し。
ああ、石井さんの目指している蕎麦そのものだ…
と、あっという間に喉に落ち、
続いて出されたのは、冷かけ仕立ての「おろしそば」。
すっきりとして上品な出汁の染みた冷かけ汁が、実に美味しく、
その汁に浸り、凛としてよこたわる繊細な蕎麦。
手繰り口に含むと、これが美味しい…。
するるっと、汁を纏い、きりっとした大根おろしが、蕎麦の甘みを引き立て、
汁と共に、まるで白魚のごとき流れるように落ちて行く。
飲んだ後の喉に爽やかで、汁まですっかり飲みほして…。
と、これでコースのお料理も蕎麦も終わりだけれど、
ここまできたら、やっぱり「かけそば」も食べてみた。
4人取り分け頂こうと、さらに追加で「かけそば」注文 。
と、これが、うれしすぎるサプライズ。
「ちょっと、サービスしちゃいました(^^ゞ」
と、なんと「松茸蕎麦」になって登場~。
たっぷりの松茸が盛られた蕎麦を、銘々小鉢に取り分けて…
さっそく頂いた甘汁が、又美味しい。
すっきりとして柔らかく、その中に、目が覚めるような松茸の香り。
炙り裂かれて、しゃきしゃきっとした松茸に、
するりと絡まる蕎麦がたまらなく…
すっかり食べたら、お腹いっぱい、大満足 。
…と、さらにご主人とあれこれお話しなどさせて頂くと、
「これからの(忘年会などの)季節、こんな事もやっているので是非」
と見せてくれた、「江戸屋×古拙 宴会・お泊まりセット」。
飲み放題の付いた蕎麦のコースに、朝食までついているとは、これはお得。
さらに、「やっと完成したんですが」との、地下に作られた個室の間。
「ちょっと見てみます?」との事で、これも拝見させて頂くと、
畳にテーブルの和洋折衷、品格ある個室で、ゆったりとしてこれはいいなぁ
「人形町とは又違う、もっと気楽にお客さんに楽しんでもらえれば」
と、にこにこと話されるご主人のお人柄に、すっかり好感~
何より、コース料理も一人前から注文可能だそうで、これはうれしい。
お昼にも、そして何かの折の宴会にでも、又訪れたいな、としみじみと。
ご馳走様でした~
ご一緒して下さったH先生、Mさん、Tさん、ありがとうございました~
「酒と肴と、水腰そば 古拙」
文京区湯島3-20-3 ホテル江戸屋B1F
03-3835-4992
11:30~14:00 / 17:00~22:00
禁煙
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しかも、蕎麦は、きちんと石井さんの蕎麦ですから(^^)
いいですよね、ここ。
宴会にはもってこい!
お役に立ててなによりです。
それはそうと…
本当に、一年経つのがあっという間。
今年も偶然、ご一緒になったら、お声かけて下さい(^^)
飲み会の場所を探していたところ、yuka様のブログで「古拙」を発見。このエリアは我々のテリトリーなので、早速予約していきました。この店、癖になりそうです。
もう年末ですね。そろそろ「ほしの」に予約をいれる時期です。
個室もゆったりと(たくさん)あるので、お子様と一緒もいいと思います♪
お泊まりセットも、魅力でしょ(^^)
お寿司を出すっていうとこに、
お客をびっくり&楽しませようという気持ちが出てますねえ。
絶対行きます♪
日曜日の事かしら。
私も定休日をお聞きするの、忘れていたのですが、日曜日が休みなのかもしれないですね。
確認しておきます。
こんごう庵、私も行ってみます(^^)
昨日は息子の学校で落語会
帰りは”童心舎”と思いつつ・・
そうだ、今日は”古拙”へと急遽、湯島へ
先日、湯島で受験生を持つ親の懇親会があり
その後、天神様へと坂を上がって行き
偶然見つけて一人ニヤニヤワクワクしていました。
ガ~ン・・休み
気を取り直して近くの黒いそば”古式”へ
ガ~ンガ~ン・・休み(x_x;)シュン
とぼとぼ(;へ:)あっ!”こんごう庵”行ってみたかったんだ~
新そばだ~石臼挽きだ~へぎそばだ~
腰があり喉越し良くつゆもかつおが香って、思わずにっこり
新潟の地酒とつまみが豊富に取り揃えてあり、
気分はほっこり良かった良かったでした。。。
この値段で、これだけ楽しませて頂けるなんて、素敵です。
ぜひ(^^)。
でも、お蕎麦は、石井さんの蕎麦。
再びここで、古拙の名前を使うという、店名については、私も謎です。
でも、ここ、使い勝手良さそうです♪
是非、一人でも、何かの折にでも(^^)
値段設定の妙、ここらも良く練られてますね
「古拙」という名なのに古拙の値段でないところが不思議。
で、旧「古拙」は「仁行」になってしまったのですね?
これも不思議!
場所が変わると店名を変えることにしているのですかね?
→ yuka (04/08)
→ yuka (04/08)
→ sherbetsST (04/02)
→ gun (03/27)
→ yuka (03/19)