今日は水曜、レディースデー。…なので、
急ぎ映画館へ向かい、「ツレがうつになりまして」をしばし観賞~。
私もツレについて改めて考え、思い直したりしつつ、余韻どっぷり。
ぼおっとしながら映画館を出たら、昼もすっかり過ぎた時間、
こんな気分の時には、中休みのないお蕎麦屋さんだ
久しぶりに、あのご主人に会いたいな…と、池袋の騒々しい街中を抜け、
高速道路高架下の、人通り少なくなったビルの間に、
のほほんと佇む、ややすすけ、年季の入った街蕎麦屋風情のお店へと。
店は古びても、しかと書かれたどでかい「手打」の文字に、
ご主人の深意が込められているよう… 。
池袋 「手打そば うどん 一栄」
お店に近づく間に、するりと暖簾を潜る男性客を目の前にし、
私も続く形で、引き戸を開き店内へ。
随分ご無沙汰していて、考えてみたらほぼ3年ぶり。
が、それを忘れてしまうくらい、全く変わらない、雑然とした長閑な店内。
コの字カウンタの中で、ほがらかな笑顔でご主人が
常連さんと、和やかに話されている姿に、お元気そうでよかった…、
と、私は奥のカウンターの端の椅子をそっと引く。
目の前には、プレミアが付きそうな日に焼けた漫画本が並べられ、
雑誌の積み重なった小上がりなど、以前訪れた時のまま。
ゆったりのんびりと流れる空気は、
どこか田舎の親戚宅にでもいるかのような、寛ぎ感。
気負いも気がねもない、この空気に肩の力もほぉっと抜け…
ああ、ここは、いいなぁ…
しばし、久しぶりのこの空気をゆっくと感じ入り、
置かれている品書きを手にし眺める。
せいろ、田舎、しらゆき、さらに、けし、ゆず、ダッタン
相変わらず5色の蕎麦が、しっかりと書かれ、
さらに、暖かいお蕎麦に手打ちのうどんがいくつか揃う。
この品書きも、以前のままだ、と確認し…
まずは、蕎麦前、急に寒さが厳しくなった今日は熱燗で暖まりたい。
それに、ここでの楽しみ、「本からすみ」を添えて注文。
湯煎して温められたお酒は、染付白磁の徳利に猪口。
柔らかい口当たりのお酒が、じんわりと体を温める。
添えられた揚げ蕎麦は、かりかりっと軽やかで、
塩加減もぴたり、お酒の充てに程良く、
三切れとは言え、なかなか厚みがある「からすみ」で熱燗を口に含めば、
ん~ん、たまらない…。
と、ゆるゆるとした空気をしばし楽しみ…
お蕎麦は、来る時から決めていた「ひな鳥せいろ」を頼もうかな、
と、思っていたら、後から来たお客さんの「たぬきそば」が美味しそ~う。
ここの温かいお蕎麦も食べてみたいなあ、としばし迷ったが…、
いややはり初志貫徹、「ひな鳥せいろ」を、結局注文~。
頼むと程なく、目の前に置かれた「ひな鳥せいろ」。
江戸前よりやや太めに断たれた蕎麦は、艶やかで角が立った凛々しい姿。
手繰り口に含めば、香り風味は強くはないが、しっかりとした腰加減。
ぐっと歯を押し返す弾力があり、噛みしめるとじんわりと甘みが広がり、
その後で、するりと落ちる、喉越し軽やか。
ああ、いいなぁ、この蕎麦 。
強烈な印象を与えるというのとは違う、
妙な魅力があり、しみじみと美味しく、いつまででも食べていたいよう…。
そして、横でふわふわと湯気を立てた「ひな鳥汁」。
これに浸し頂くと、しっかりとした腰にこの汁が絡まり、これが旨いっ。
上品に鳥の旨みが染みたこの汁の味わい。
これが蕎麦の風味をぐんっと引き立て、甘みがじわ~っと広がってくる。
ああ、これは美味しいな~。
皮が取り除かれた鶏肉は、私にぴったり。
さっぱりとしてふわふわ鳥肉と一緒に手繰るのも楽しく、
後は夢中で手繰り、あっという間に食べてしまう。
熱々さらりとした蕎麦湯を注ぎ入れ、余韻をかみしめ…
いつまでもいつまでも、ここにこうしてあって欲しいなぁとしみじみと。
ご馳走様でした~
帰り際に、にこっと微笑んでくれたご主人の笑顔に心がほぉっと暖まる。
又是非…、今度は温かいお蕎麦を、食べにきます 。
「手打そばうどん 一栄」
豊島区東池袋3-9-5
03-3987-7051
11:00-16:00
日・祝休
2008年 7月 3日 ビールで「からすみ」「つけとろそば」
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しみじみと、本当に美味しかったです。
そして、あのご主人の顔を見ると、なんだかほっとしちゃって…(^^)
帰り際にちょっとお聞きしたら、
「そうなんだよねー、でも、もう大丈夫だよー」
とにこにこおっしゃっていたので、安心しました。
ここは、きちんと美味しいお蕎麦です。
一茶庵の系統をきちんと受け継ぎ、かつ、気兼ねないこのお店の良さ。
ぜひ、久しぶりに訪れてみて下さい(^^)
(土曜日はやっているので)
手打ちの蕎麦屋も増えて、あまり名前を聞く機会が無くなりましたが、まだまだ現役。
確か、一時期、体調を崩されたと言う話が有った様な記憶がありますが、
汚れの無い看板に気合を感じますね。
そうそう、ここはカラスミが有ったんですよね。
揚げ蕎麦も変わり蕎麦やら、いろいろ入っていて楽しかった記憶が。
また、伺いたくなりました。
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