扉を開き入ると、心地よく落とされた照明に、きりっと並んだテーブル席。
先に蕎麦前も楽しんでいらっしゃったお客さんの横に腰を下ろし、



ついつい見上げてしまう、日替わりの小鉢の品々。
それと、店前に「蓮根天そば」にも、心惹かれるものがあるのだが…



今日は、やっぱりこれが食べたい、「にはち」さんの「つけとろ」そば 。



にこっとしたかわいらしい奥様の応対もうれしく、程なく出された念願の「つけとろ」。
置かれた途端に、目が惹きつけられる、蒸篭に盛られた蕎麦の凛々しさ。



瑞々しく丹精に切りそろった、はつらつとした細切りの蕎麦は、
手繰り上げた途端に、ふわっと香り立つ馥郁とした蕎麦の香り。



口に含むと、心地のいい弾力感にしなやかさを併せ持ち、
かみ締めると、ぷつんっと切れするりと軽妙にのど元に収まっていく。
その後で、くっと込み上げる、蕎麦の味わい。

ああ、誠実で楚々、「にはち」さんお蕎麦は美味しいなあ
と、そのままの蕎麦をしばし味わい…、



ふわっと掻き立てられ、細かな気泡が表面を覆う「つけとろ汁」。



これに、蕎麦を絡め頂くと、そうそう、これこれっ、んー美味しい～っ

さらりとして、上品ですっきりとした奥行きある汁に、
とろろのコクと滋味ある風味が溶け込みんだ、妙味溢れたとろろ汁。
ほろりと蕎麦に絡まると、蕎麦とこの汁が合わさり、これがたまらない。

はらりと散らされた刻み海苔の磯の風味もよく、後はもう夢中。
あっという間に手繰り手繰り、ああ、もっと食べたい程…



と、頃合みて出された風情ある陶器の湯桶から、蕎麦湯を注ぎいれ、
程よく白濁した、風味ある蕎麦湯が溶け込んだとろろ汁が、最後の楽しみ。
たっぷりとこれも飲み干し、満ち足りた心地でほおっと。

ご馳走さまでした～

かわいい奥様のおもてなしが心温かく、篤実なご主人とお二人の、
まるで野の小道にほっこり咲いた小花のような「にはち」さん。

ここでも是非一度、たっぷりお料理も頂いてみたいな…

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