1時をとうに回った店内は、すっかり落ち着いた空気が流れ、
お気に入りの蹲を前にした、テーブル席に腰を下ろす。



まずは、久々の昼酒、蕎麦前をば。
丁寧に説明書きされている品書きを一つ一つ眺め…



お願いした「特醸　瀧澤」。
しっかり味の染みた煮昆布のお通しが付くのがうれしく、
言葉通り、すっきりとして円やかな、口当たりの爽やかな好みの味わい。



…と、ひとまずほっとしたら、これも迷ってしまう「牡蠣天」と「牡蠣せいろ」。
さらに、こっちも食べたい「きのこせいろ」もあり、しばし悩みつつ…



やっぱり、まずはこれを食べなきゃ
と、お願いした「牡蠣天盛り」が程なく置かれる。

茄子にシシトウが添えられた一品には、たっぷり牡蠣が5個分盛られ、



まずは、そのまま揚げられた牡蠣天に…、
んん～っ、かぶりついた途端に滴り落ちる牡蠣のエキス



さらに、これが好き、ひと手間かけた、紫蘇巻きの牡蠣天。



添えられた塩も、天つゆも、全く必要のないほど、濃厚な牡蠣の味わい。
これは、やっぱり…、美味し～いっ

お酒を飲む事さえ、忘れそうな程、すっかり夢中で食べていると、
「トム臼♯９のそばがき、食べてみる？」
のうれしい言葉をかけて下さり、もちろん、「よろこんで 」



しばしして出された、蓋付きの陶器を開けてみると…



わおっ、これはすごいっ
「山の実」のそばがきの姿を彷彿させる、ごつごつ埋まった超粗挽き。
新潟関町の新蕎麦だそうで、香りはふわっと軽やかに漂う。



箸を入れると、うれしい程に、これがふわっふわ。



まるで「蕎麦おはぎ」のような、豪華な粒々が盛り上がるそばがきを口にすると、
とろ～と途端に蕩け、すぐに感じる心地のいい粒々のぷるぷるとした感触。
その後で、口いっぱい、実に香ばしい蕎麦の味わいで満たされる。
香りは穏やかだったのに、濃厚なこの味わい、もう～、うっとり 。

軽やかな蕎麦がきで、そのままで、塩を添えて、
何故か、ぴたりと寄りそう生姜醤油で頂いて…

と、既に3時になろうかというのに、次々にお客さんが訪れほぼ満員 。
私も急ぎ、お蕎麦を、牡蠣は堪能したので…、



思い残すことなく、これも秋に外せない「きのこせいろ」。



選んだ蕎麦は「粗挽きそば」。
ところどころに星の混ざった、見目も美しい繊細な粗挽き。



香りはやはり穏やかだが、口に含んだ味わいはとても豊か。
ふわ～り広がる蕎麦の味わいに、濃厚な甘みが追ってくる。
これは、美味しいっ

しばし、そのままの蕎麦を楽しんだ後は、



横のほかほか湯気を立てた「きのこ汁」。



具沢山のこの汁にそっと蕎麦を浸し頂くと、これは美味し～い
熱々の出汁の染みた汁は、きのこの風味が充満し、
それに絡め頂くと、蕎麦の甘みにきのこの風味が調和する。



しかも、舞茸が、とにかく極上。
身厚でジューシー、しゃきしゃきっとした歯ごたえに香りが広がり、



ふわりとした身の鶏肉も入った豪華版。
成程…、この風味、出汁の根底に、この鳥出汁が染みているんだな～・・

と、もう夢中で手繰ってしまい、さらさら熱々の蕎麦湯を注ぎ入れ、
すっかり頂いたら、もう、満腹至福

ご馳走様でした～

この超粗挽きそばがきは、是非とも品書きに入れて欲しいなあ、
とご主人も考えているようで…、さて、次は、「けんちん」だ

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